COLUMN ビジネスシンカー

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2018.12

働き方改革の先人たち 「実践・逆張り・非常識」経営 あの会社はなぜ業績を上げたのか

合併しても採用は別々、
社内用語も別々で業績アップしたバスメーカー

 高い収益性を確保するためには、さまざまな方法がある。投資した資本の回収期間を短くすることであったり、その回収額を最大化することであったりする。そのためには作業時間の短縮や、作業の効率化、スタッフの時間の短縮化、ミスやエラーを低下させ、歩留まりを上げる対策を講じる必要がある。そのための3Sや5S運動であったり、TQC活動があったりする。

 大きい場合は、新しい事業を吸収したり、会社を合併させることもある。合併吸収は、足りないところを補い合うことでシナジーが生まれる。

 しかし合併はしたものの実際はなかなか効果を発揮できないこともある。特に対等合併はお互いの文化やプライドもあってシナジーを発揮するのは難しいと言われている。

 そんななか、結果を出しているバスメーカーの合併がある。2002年日野自動車の子会社の自動車車体といすゞ自動車の子会社だった、いすゞバス製造が対等合併したのだ。新会社はジェイ・バス。2004年に完全統合した。合併前はともに赤字に苦しんでいたが、2006年には見事黒字に転換した。

 ジェイ・バスはなぜうまくいったのか。

 それは合併では当たり前のことをやらなかったからだ。合併によって現場に余分な負担をかけないように、社内用語の統一をしなかった。通常は一番気になるところだ。とくにモノづくりの現場では独自の用語が飛び交うために、その統一はその後のシナジー効果を大きく左右するという。

 それだけではない。採用も別々のままにしている。工場の統合もせず、工場からの転勤はなしとした。

 専門コンサルタントからすると「果たして合併の意味があるのか」と首をかしげたくなるが、開発費や材料調達費の低減、品質管理のノウハウの共有など、メリットが出るところだけを共同化したから、効率よく黒字化を実現したのである。

 何から何まで統一化するのではなく、それぞれの文化のなかでのメリットを見極めていいとこ取りをしたのだ。統一化は確かにメリットがある。しかしそこまでの時間や労力をかけるべきかを冷静に判断したのだ。対等合併であるからこその知恵とも言える。

 これらの企業の発想は一見すると、あるいは一聞すると、当たり前や正解からかなり離れ、真逆に近いことばかりだ。しかしその当たり前、正解にとらわれること自体が業績の足を引っ張っていることがたくさんある。虚心坦懐。いまある正解を疑ってみることがこれからのビジネスの基本態度なのかもしれない。

【POINT】

■ 日本人は農耕民族。タイムカードなしでも時間はきちんと守る
■ 働くなというと逆にみな頑張る
■ 組織や肩書はないほうが仕事が進む
■ 成果主義より年功序列
■ 下手な広告より、すごい技術をみせる
■ 効率、効果の最大という発想を捨てる
■ お客様は誠実。返品保証で業務員の質が上がる
■ 製造現場ではパソコンより1枚の発注書が効率的
■ 会議も朝礼もないほうが仕事がうまくいく
■ 客単価の高いマニア客を狙わず、素人から「学ぶ」
■ 商品を売らず、「きれいな想い出づくり」を売る
■ 合併吸収では無理に文化を統合しない

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