COLUMN ビジネスシンカー

2019.01

AI、VR … 先端テクノロジ全盛時代だからこそ 人を伸ばす丁稚奉公・徒弟制度が活きる!

ヨーロッパは徒弟制度が充実している!

 実は旧態依然と思われる職人の徒弟制度は、日本だけでなく古今東西、各地で取り入れられてきた。

 代表的なのはドイツとイギリスだ。

 ドイツではよく知られるようにマイスター制度があるが、それを支えているのは徒弟制度だ。ドイツでは何か技能をもつ職業に就こうとすると、この徒弟制度を経ずに就くことは困難だ。というのもドイツではいわゆる学術を中心とした教育と、それぞれの職種にふさわしい職業訓練教育があり、めざす職業の職場に入って週に数日は先輩の職人や親方について学び、残りは学校で座学を中心とした教育を受けるようになっているのだ。仕事の現場と学校で交互に学ぶこのシステムは「デュアルシステム」と呼ばれ、ヨーロッパの職業人育成のベーシックシステムとなっている。

 近年ではこの方法が日本の工業学校や職業訓練校にも取り入れられつつある。東京都の工業高校ではこうしたデュアルシステムを積極的に取り入れており、大田区などの町工場が生徒を受け入れている。生徒が行う現場での作業やスキルが一定レベルに達すると、単位として認定される仕組みだ。

 大学などで行われるインターンシップ制度に似ているが、どちらかというとインターンシップ制度は学生の職業体験に近いもので、期間も短く、インターン受け入れ側も、必ずしも制度に参加した学生を卒業後に受け入れるつもりはないようだ。

 これに対して高校の日本版デュアルシステムは、2年ないし3年近く、職場で実務経験を積むことで、卒業時にはある程度の業界で「使ってもらえる」だけの技術習得ができる。

 日本版デュアルシステムでは、必ずしもお世話になった職場に就職しなくてもよいことになっているが、受け入れる会社側は、筋のいい人財がいれば採用したいと考えており、実際学校側もこれを推奨している。

 つまり、少なくとも徒弟制度が旧態依然の人財育成制度であるというのは大きな誤解なのだ。