COLUMN ビジネスシンカー

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2019.11

目から鱗ー知らないと損する イマドキのマーケティングの基本

高度成長期はマーケティングが不要だった

なぜマーケティングは必要なのか。1つには、モノやサービスが市場を満たしていくためだ。

商品の売れ方は時代とともに変わってきた。たとえば戦後1950年代から1970年代までの高度成長期では、需要が生産量を上回る状態が続いてきたので、企業は生産に集中するだけで十分だった。企業は生産能力と流通の拡大に努めればよかった(第1段階)。しかしその後生産が需要に追いつくようになると、個々の商品の売れ方は鈍化していく。企業間の競争は激しくなり、商品の機能や品質をより際立たせる必要が出てきた。企業は他者との差別化を図るべく、製品開発に力を注いだ(第2段階)。ただこれは顧客のニーズを汲み取ったものではなく、企業が自社の発想のみで差別化を図っていったのだ。

やがてさらに需要が十分に満たされるようになると商品の差だけでは、売ることが難しくなった。そこで企業は商品をいかに売るかという売り方に力を注ぐことになる(第3段階)。しかし売り込み合戦が過熱すると、消費者は反発を覚えるようになる。そこで企業は考えを変えていく。「より生活者が満足するような商品を買う方法をとらなくてはだめだ」と。消費者がどのようなものを欲しがっているのかを調べ、その企業独自の特徴付けを行いながら、満足度の高い商品を提供することになる(第4段階)。

この1から4の段階をそれぞれ、「生産志向段階」「製品志向段階」「販売志向段階」「マーケティング志向段階」と呼んでいる。現在の市場はこのマーケティング志向段階に入ったといわれている。またこれらの段階については、1~3の段階を「プロダクト・アウト」、4番目の段階を「マーケット・イン」という分け方をする時がある。


プロダクト・アウトとは、「いいものは売れるはず」という作り手中心の考え方で、マーケット・インは顧客や消費者が欲しがっているものを探し出し、商品化して提供する顧客中心の考え方とも言える。

よく、売れる商品をつくるにためは「顧客のニーズを聞け」「市場のニーズを分析せよ」といったことが言われるが、これはマーケット・インの発想から生まれたこと言葉だ。

もう一つは、商品には「寿命=ライフサイクル」があることだ。世の中にはロングセラー商品があり、10年20年、場合によっては40年、50年と売れ続ける。

しかしそういった商品は稀で、業界にもよるが、たとえば菓子類や即席めんなどは、3カ月も持たずに消えていくものもある。従って、企業は1つの商品にだけに頼ることなく、新しい商品を市場に投入していく必要がある。

当然ながら新しい商品を開発して売るためには、新たに消費者が欲しがっているものを探り、開発していかなければならない。つまりマーケティングのプロセスを1から進めていくことになる。たとえヒットした商品があるからと言って、同じような商品をちょっと中身を変えただけでは消費者は財布から現金やカードを出さない。よって企業は商品の寿命が終わる前に新しい商品を市場に投入する必要があるのだ。

ちなみに商品のライフサイクルは次の4つのステージに分かれる。
最初が「導入期」である。この段階ではまだ売上高の右肩上がりのカーブはそれほど顕著ではない。「上がっているかな」といった程度。その後ある時点を超えると急激に売り上げが増えていく。「成長期」に入ったのだ。やがてその売り上げ曲線が緩やかになったかと思うとピークを迎え、下降する。この売上の右肩上がりが鈍化したころからピークを迎え、そして下降し始めたあたりが「成熟期」と呼ばれる時期だ。そして間もなく衰退期を迎え、急激に落ち込んでいく。一般に成長期のカーブより、落ち込む時のカーブのほうがきつくなる。

この商品のライフサイクルは時代が下るにつれてどんどん短くなっている。情報網がどんどん発達しているので、ある商品が売れるとなると、ライバル会社が似たような商品をあっという間に開発し、後を追ってくるからだ。

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