COLUMN ビジネスシンカー

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2020.05

新型コロナのいまと
コロナ後を考える

複雑な給付や補助金より、
ベーシックインカム

今回10万円給付については、生活保護受給者をどうするかという問題が上がったが、むしろ改めて考えるべきはベーシックインカム制度かもしれない。すでにスペインではベーシックインカム制度の導入を検討し始めた。日本でも幾度となくベーシックインカムは検討されてきたが、まだ試験までにも至っていない。いまの財源では1人あたり月5〜15万円で議論されており、月7〜8万円が現実的な数字として想定されている。

確かに1月をやりくりするのには厳しいが、例えば家族4人であれば、7万円で28万円、8万円で32万円となる。世帯単位ではかなりいける話である。麻生副総理は「手を挙げた人としたい」と発言したが、富裕層に対しては、自ら返上してももらってもいいし、一旦受け取り、寄付や援助としてもらってもいい。最終的に確定申告などで一定の網をかけて調整してもいい。まずは届け、憲法が保証する「最低限度の文化的な生活」を実現する。経済の拡大はその先にある。「怠け者が増える」「フリーライダー」が利するという声もあるが、どんな社会や組織でもフリーライダー層は一定あり、そこだけに目を向けると組織や社会は動かなくなる。そういった人に希望をもたせ働くための支援をすることはまた別の政策である。

ベーシックインカムの導入は、なにより面倒な計算や手続き業務に関わる行政をスリム化できる。政治家のアンケートでも、全員ではないものの、ほぼ全部の党で賛成者がいる。

その点からもスペインをはじめとするヨーロッパの動向には注目したい。

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