COLUMN ビジネスシンカー

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2020.07

人間は実はいつだって不合理に行動する!?
知ってると知らないでは大違い。
行動経済学のキホン

人間はいくつのサンプルで
購買に至るか
-「ジャムの法則」

あなたはいま靴を買おうと思ってる。店頭には雑誌で見ていた外出用のカジュアルシューズが並んでいる。顔を上げると同じようなデザインの別のブランドのシューズの棚が目に入る。「なんかこっちもいいな」。色違いと革の質の違いで5種類ある。どれにしようかと迷っていると、反対側の棚にある別のメーカーのシューズが目に入ってくる。デザインは違うが、醸し出す雰囲気が似ているし、有名メーカーだ。しかも色違いが6種類ある。「このシリーズもいいな」。迷っているうちに時間がどんどん過ぎ、あなたは決断する。「また別の機会に買おう」。

結局シューズを買わずにシューズショップを出る。なぜ買わなかったのか? そう、迷ったからだ。目移りしたから。でもよくあることだ。

一般に消費者にとって選択肢が多ければ、自分の好みの商品を選ぶ可能性が高まるのでハッピーだ。しかし、あまりに選択肢が多いとどうなるだろうか? ショッピング好きならいいが、選択すること自体が面倒になってしまう。「ジャムの法則」というセオリーがある。アメリカのコロンビア大学ビジネススクールのアイエンガーという教授が明らかにしたもので、同じ店で24種類のジャムと6種類のジャムの試食品を置いた時、どちらが売れるかを検証し、導き出された。

アイエンガー教授は、ジャムを24種類並べた時と、6種類を並べた時、通りかかった人の反応を調べた。その結果分かったのは、24種類を並べた時は60%の人が立ち止まって試食をしたものの、6種類の時は40%の人しか試食しなかったことだ。

しかし問題はそこからだ。試食したジャムの種類は、24種も6種もほぼ同じであったのだ。そして最終的にジャムを購入した人の数は、6種類のジャムの場合、立ち止まった人の31%だったが、24種類の場合は、その3%しか購入しなかったのだ。

つまり24種類のジャムは100人のうち、60人が立ち止まり試食をするものの、購入に至るのは2人。これに対して、6種類のジャムでは試食をするのが40人で、うち購入者が12人いたということ。その差は実に6倍。

理論的には選択肢が多いほど、その人に最も適した商品を選ぶことができることになる。しかし実際の売り場では、選択肢を多くすれば売り上げが伸びるとは限らないことが分かった。

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