COLUMN ビジネスシンカー

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2021.02

サスティナブルな社会と会社の基軸
ESG、SDGsに取り組む前に知っておきたい
みんなの幸福学

ホワイト企業は、
コミュニケーションの工夫に力を注ぐ

社員が働きやすい環境を実現し、社員満足度の高い経営を行っている企業を、ブラック企業と対比して「ホワイト企業」と呼んでいるが、観念的な言葉としてだけでなく、実際にホワイト財団が「ホワイト企業」として選出している。

慶應義塾大学の前野教授もこの「ホワイト企業」の選出委員でもある。

第1回「ホワイト企業」大賞を受賞したのが、『働くな』が社是の岐阜の未来工業だった。当時、社長で創業者の山田昭男さんは、「ホウレンソウは、無駄」と言い、営業マンにトラブルがあってもまず自分で解決させるようにした。「だいたいお客様のことは普段接している営業マンがわかる。上司がおっとり刀で駆けつけても対応が遅くなるだけだ」と。

演劇好きの山田さんは社業ほったらかしで、ウィークデーから上京して演劇を観ることがしょっちゅうだった。東京で出会った知人の社長が「山田さん、あんたこんなことをしていた大丈夫か?」と心配すると、「大丈夫。うちの社員はしっかりしているから」と意に介さなかったという。

これだけ社員を信頼している社長も幸せだろうし、これだけ信頼されている社員も幸せだろう。これは演劇をやっていた山田さんがコミュニケーションの本質を見抜いていたからとも言える。ちなみに未来工業は上場企業で最も就業時間の短い、休日の多い会社として表彰されたこともある。あまりにも休日が多いので、「これ以上休日を増やさないでほしい」と社員から嘆願されたことがあるほどだ。ある種「達意の幸福経営」だろう。

ここまでの達意の幸福経営はそうそうできるものではない。だが社員に権限を移譲し、コミュニケーションを取りながら、幸福度の高い経営をしている企業はたくさんある。

ホワイト企業や健康経営企業など、高い社員満足度や健全な文化を持つ企業を表彰する賞が増えているが、受賞した企業に共通しているのは、きめ細やかなコミュニケーション制度を取り入れていることだ。

最近は「1on 1(ワン・オン・ワン)」という上司が部下に週1や月1で30分程度面談する制度が定着しつつあるが、こうしたフレーム化されたコミュニケーションにとどまらない。トップが社員とフレンドリーで(かつてそうでなかったとしても)、トップや役員を囲んだインフォーマルなコミュニケーションの場がだいたい設定されている。

役員や社長とランチ会を開いたり、一緒にハイキングや登山をする、社員全員でリゾート合宿をする、運動会、卓球大会も健在だ。月に1度、ある課が別の課のスタッフを招待してバーベキュー大会を開く会社もある。

家族の誕生日や社員の結婚記念日に記念品を贈ったり、家族を会社に呼ぶ例もある。メーカーでは自社商品を使っていただく海外のユーザを招待し、サプライズでその商品を作っている工場スタッフに花束を手渡すイベントなど、さまざまなコミュニケーションの仕掛けをしている。同質でない人と触れ合うことでは、外部研修やワークショップも手だ。

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