COLUMN ビジネスシンカー

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2021.02

サスティナブルな社会と会社の基軸
ESG、SDGsに取り組む前に知っておきたい
みんなの幸福学

幸せにいたるメカニズムには
4つの因子が働く

前野教授はこの幸福因子を4つに整理した。社員の幸福度を高めるためには4因子を高めることで幸福度の高い会社になっていくという。

4つの因子とは次のようなものだ。

1つは、「やってみよう」因子。どんな小さなことでもいい、やりがいのある仕事、ワクワクできる趣味を持ち、目標に向かって努力・学習している人が高い幸福度を得る。それらを通じて成長の実感や自己実現を体験できれば、より幸福感が高まる。

2つ目は、「ありがとう」因子。人とのつながりのなかで、誰かを喜ばせたり、親切に触れることで感謝を言ったり、されたりすると幸福度が高まる。ありがとう因子の観点では、幸福度は利他的な人が高い。よく他人の業績の手柄を自分のように誇る自己中心的な人がいるが、そういった行為は本人が思っているほど決して幸福度は高くはない。ありがとう因子は、ありがとうや感謝が生まれる関係性が広がるほど幸福度が高まる。よって人とのつながりは同質ではなく、多様であったほうが幸福度が高くなる特性を持つ。いつもの仲間ではなく、できるだけ新しい出会いを意識し、求めることで、その幸福度はどんどん高まる。

3つ目は「なんとかなる」因子。悲観的でなく、前向きな思考の人が幸福度が高い。よくいわれる「ポジティブ思考」は、この因子だ。自分はだめだとか、自己否定するのでななく、「まっ、いいか」と自己受容できるような人が幸福度が高い。その意味ではいろいろな苦い経験を越えてきた人生経験の豊かな人間のほうが幸福度が高くなっていく。前野教授は、なんとかなる思考にするためには"俯瞰的な視野" を持つことを勧める。失敗したことに囚われてくよくよするのではなく、起こったことを俯瞰的に見つめて対策を練るほうが問題を引きずらない。その点でも自分のネットワークが多様なほうが前向きで楽観的になれる。いろいろと相談できる相手がいるからだ。

4つ目の因子は「ありのままに」因子。他人と比較をせず、自分は自分、ありのままであるという意識を持っている人が幸福度が高い。日本人に限らず、資本主義の教育の中では、周りと比較し競争させられてきたため、人はどうしても他人と比較してしまうもの。だが自分らしさの因子をしっかり保持すれば、地位財への安易な憧れも抑えることができ、高い満足度が得られる。

この4つの因子に対して満足度が高ければ「幸福な状態」で、因子が満たされなければ「不幸な状態」となる。さらに気づいた人もいると思うが、いずれの因子も他の因子に関わっているのが幸せ因子の特徴だ。「なんとかなる」因子は、「やってみよう」、「ありがとう」因子を補っており、「ありのままに」因子は、「やってみよう」、「ありがとう」因子を制御することで全体の幸せを形作ることができる。

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