COLUMN ビジネスシンカー

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2021.09

混迷を深めるVUCAの時代だからこそ。 知っておきたい
「大人の義賊史」

インド中を不安に陥れた女盗賊はやがて
国会議員になった

インドのプーラン・デーヴィーも現代を代表する義賊といえる。その劇的な人生は映画にもなっている。彼女は1963年インドのカーストの下層階級の貧しい家庭に誕生し、虐待や暴力の中で成長する。11歳の時、両親に言われるまま結婚するが、そこでも虐待された上に追い出されてしまう。実家に戻ったプーランは一家を助けることになるが、一族の実力者との争いに巻き込まれ、警察に逮捕されてしまう。その後は、盗賊団に誘拐され首領の愛人にさせられるものの、逃走して自らの盗賊団を結成したのだった。彼女は盗賊の女王として恐れられるが、下層カーストの家を襲わなかったことから、義賊として慕われている。

彼女は盗賊団の抗争のなかで捉えられ、3週間にわたってレイプされ続けるという悲惨な経験をするが、彼女を慕う民衆よって助け出される。すると彼女とその一団はその後自分たちをレイプし続けた窃盗団の男たちを殺害すべく、ある村を襲撃し、男性22人を殺害。だが殺害したなかに無関係の人間と自分よりカーストが上の人間がいたことから世間をさらに騒がせることになった。

警察は彼女を追うものの捕まえることができず、1983年、死刑を免除することを条件とした司法取引で、彼女と盗賊団との交渉に臨んだ。彼女はこれを承諾し10,000人の市民の前で投降している。

そして11年間の投獄の後、州知事の特赦で釈放されると1996年に国会議員に立候補し当選。しかし2001年、村の襲撃に遺恨を持つという男に射殺さてれてしまう。彼女は国会議員の間、2度来日している。

強奪や殺人は決して許されるものではない。ただそれぞれの意見や主張の根拠や背景を知るだけでも、無駄な紛争や誤解を回避できるヒントになるかもしれない。世界の基準軸は1つだけではないことを、少しでも知ってもらえたなら、未来の知恵が生まれるかもしれない。

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