COLUMN ビジネスシンカー

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2021.10

知っていれば、ビジネスが楽になる! 経営心理学の基本講座

企業が求めるリーダーシップとは

これまで述べたように、モチベーションは会社の業績や成長に大きく関わってくる。

そこでクローズアップされてくるのがリーダーシップである。組織の上に立つ人間がどのようなリーダーシップを持っているかで、組織の成長やまとまり方が変わってくるからだ。とくにグローバル化が進んだ現代では、次世代を担うと期待されるリーダーを早いうちから育成する企業が増えている。

リーダーシップについては、かねてよりさまざまな研究がなされてきた。

リーダーシップについて本格的研究が始まったのは、1920年代。当初はリーダーというものは生まれながらにしてリーダーであるという考えが強かったようだ。

アメリカのR.ストッグディルという心理学者は、300近い事例を研究し、リーダーの知識や経験、責任感、パワー、動機などリーダーシップの特性やスキルを見出した。ストッグディルによれば、どのような状況にも万能なリーダーシップ特性はなく、リーダーとして必要となる特性やスキルは、その集団の特徴や状況によって決まると結論づけている。

リーダーシップはいわゆる"持っている人"に備わったものだけれども、すべての組織や状況でリーダーシップが発揮できるわけではない、というわけだ。

これが1950年代になると、リーダーシップはもって生まれた部分はあるものの、教育や訓練によって優れたリーダーになることができるという論が出てくる。さらに1960年代になると、状況が変わるとリーダーも異なるという考えが浸透していく。

現在ではリーダーシップにはいくつかの類型があるとされている。たとえば次のような4つの類型だ。

1)カリスマ型リーダーシップ

・ほかのメンバーより抜きん出た能力を持っており、自ら戦略的意思決定を行い、部下に具体的な指示・命令を出す。

・現場に精通しており、率先垂範して部下を指導していく。

・一方、会社の業績が上がらなくなってきたり、期待した処遇を得られなくなると、これまでの不満や不信感が一気に爆発する可能性がある。

・また部下が指示待ちとなり、自分で考えなくなる可能性もある。

・創業期の企業や、抜本的改革を実行するためには必要とされる。

2)幹事型リーダーシップ

・世話役型のリーダーシップで、部下の仕事がしやすいように職場環境を整備することに努める。

・部下の仕事の段取りや、コミュニケーションの場づくり、他部署の連携調整などを行う。

・一方部下との人間関係は良くなるが、組織目標を貫徹するパワーは弱い。

・カリスマ型リーダーからバトンタッチされた後継者がよくとるスタイルだが、変革期の企業では長続きしないことが多い。

3)象徴型リーダーシップ

・理念的な指示を出すだけで部下の具体的な行動にはタッチしない。

・業界のオーソリティーや創業家の後継者など、部下がリーダーの権威の源泉を受容している場合に通用するスタイル。

・うまく機能する場合は、部下が自ら創意工夫するが、変革にはあまり向かない。

4)協業型リーダーシップ

・部下に方針を示して、具体的やり方はリーダーが主宰するミーティングで決定する。

・リーダーは部下の仕事の割り当てとOJT(仕事を通じての教育訓練)を行い、情報共有に努める。

・単に部下の仕事の評価を行うだけでなく、仕事の進捗状況を報告させて、相談に乗ったり、助言、指導する。

・緊急時を除いては、現代企業において最も望ましいリーダーシップ像とされる。

ここで問題となるのは、どのタイプのリーダーシップが優れているかということではない。リーダーシップにはいくつかのタイプがあり、それは状況や組織のタイプによってマッチする場合もあるし、そうでないこともあるということだ。とかくマスコミではカリスマ型のリーダーシップが話題になりがちだが、現代企業においては大きな方針を示しただけでなく、具体的なやり方も見せ、その上で自主性に任せる協業型リーダーシップがマッチしているようだ。

リーダーシップは、上司や管理する人が持っていればいいが、必ずしもなければならないものではない。

アメリカのベニスという心理学者は、管理者(マネージャー)とリーダーは違うものだとし、「マネージャーは事を正しく行う人」、「リーダーは正しいことを行う人」と定義している。

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