COLUMN ビジネスシンカー

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2021.11

エコノミスト・アナリストはこの経済指標を使う! ビジネスマンだけではなく、
日本人が知っておきたい経済指標

GDPは国内で生産された財・サービスの「付加価値の合計」

ではGDPとはいったいどういう数字なのだろう?

「わかりきったことを聞くんじゃない」と叱られそうだが、きちんと説明できる人は意外と少ないかもしれない。

GDPはGross Domestic Productの頭文字をとった略語で、その言葉どおり、「国内で生み出されたもの」を意味している。ここで誤解をされがちなのが、生産されたものの総額を表わした数字ではないということ。国内で生み出された「付加価値の合計」がGDPだ。

仮にある国「マーキュリー共和国」にA社とB社、そしてCという個人事業主がいたとし、A社の年間の売上が100億円、B社が150億円、Cという個人事業主が5億円売り上げた場合のGDPは、どうなるか。

付加価値の合計とは「生産に用いられる原材料などの中間投入分を除いた総付加価値額」である。A社の場合、100億円から原材料費や人件費などの費用を除いた10億円が付加価値額の合計。B社も同様に原材料費や人件費、家賃などを除いた7億円。Cも5億円から備品や光熱費、家賃などを除いた3500万円となり、その合計、すなわち17億3500万円がGDPとなる。実際日本には様々な企業や事業体があるため、これほど単純にはいかないし、1つのモノやサービスが生まれ、販売されるまでは多くの中間の企業や組織が関わっている。

通常、企業の売上は、商品やサービスの対価として計算されるが、そこで用いられる原材料はどこかの企業から購入することになる。つまりどこかの企業が、付加価値をつけて売っている商品(材料)を購入し、そこに新たに付加価値を乗せたものがその企業の製品やサービスとなっているわけだ。

自動車を例に挙げると、まず部品メーカーが鉄などの部材を製鉄所やアルミメーカーから購入する。それを加工しさまざまな部品を組み合わせ、次の工程の部品メーカーに販売し、部品メーカーはそこで付加価値をつけて自動車メーカーに販売し、自動車を完成させる。そしてその完成車を販売店がマージンや販売手数料という形でさらに付加価値をつけて消費者のもとに届ける。

仮に消費者への売値が100万円であった時、販売店がメーカーから仕入れる価格が70万円であれば、付加価値は差額の30万円。メーカーが製鉄所から鉄などの部材を購入した時の価格が40万円であれば、その差額の30万が付加価値。さらに製鉄所がその原料の鉄鉱石を鉱石メーカーから20万円で購入していれば、その付加価値は20万円となり、100万円のクルマでカウントされる総付加価値は30万+30万+20万円の計80万円となる。

しかし、これでは中間工程が多く、関わる企業が多い製品では、非常に計算に手間がかかる。そこでGDPを算出する際には、最初の輸入された原料費から最終製品の価格差を引いた額を付加価値とみなしている。

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