COLUMN ビジネスシンカー

2019.02

FAOも動き出した! 「昆虫食」が世界の食糧問題を変える?!

じわじわ広がる昆虫食ファン

 ある秋の週末。東京都内某所では、ある調理実習会が行われていた。集まってくるのは好奇心の高い男女10数名。メニューには「チーズ巻きの天ぷら」、「あまから団子」、そして「うどん」という和食の定番が並ぶ。するとテーブルに集まった参加者に主催者から声がかかる。

「最初はみなさんで巣から取り出してください」─

「巣」?

 現れたのはスズメバチの巣。取り出すのは巣穴の中の蜂の幼虫。そう、今日のメイン食材は、昆虫ー

 蜂の子はうどんのトッピングとして、チーズに巻かれるのはコオロギ。そして団子になるのは蚕のサナギ。

 主催者で昆虫食研究家の内山昭一さんは、こうした昆虫を使った調理会を月に2回ほど、10年ほど前から催している。

「昔は1月1回ほどだったんですが、最近は結構人が集まるようになって、月2回は行っています」

 内山さんは長野出身。小さいころから虫を使った郷土料理を食べてきたと言うが、大人になってからは離れていた。それがたまたま面白半分で見に行った食用昆虫展で、世界中で昆虫が美味しく食べられていることに驚き、幼少期の記憶が蘇ったのだと言う。

 以後、仲間と不定期に集まっては捕虫網でバッタやコウロギを捕っては食しているうちに、上述のような定期的な「食べる会」を催すようになった。

 虫を食べる会がじわじわと注目されるようになった背景について、内山さんは「メディアでも少しずつ取り上げられるようになったことに加え、ネットを中心に若い人に昆虫食への関心が広がったと思う。若い人は昆虫食自体を知らない世代で、物珍しさから入ってる模様。昆虫に抵抗感がなくなっていると感じる」と分析している。

 虫に触ることができないような虫嫌いが増えているなか、意外な感じもするが、この食べる会の参加者は20代の男女が中心。何度も参加している若い女性の常連の人もいる。

 極めつけは、内山さんが主催している秋の「バッタ会」と夏の「セミ会」。河原や公園に集まって大の大人が捕虫網を振り回して、バッタやセミを捕ってその場で素揚げをしたりして食べる催しだ。自分たちで新鮮な獲物を捕って、その場で食べるのだから、喜びも一段と湧くというもの。

 内山さんは「捕れたて新鮮、究極の地産地消。自分で捕った充実感がいい。眠っていた狩猟本能が蘇る」と言う。

 とは言っても昆虫食は、とくに都会やその周辺ではまだまだマイナーな存在だ。