COLUMN ビジネスシンカー

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2019.05

現有資産を捉え直して、儲けのポイントを探る! 令和の時代に押さえておきたい儲かるビジネスモデルの研究

顧客が欲しいのはドリルではない。穴だ─顧客の見えないニーズを探る

 どこで儲けるべきかというビジネスモデルの組み直しを考える際には、「顧客が何を欲しているか」を問うことも重要な視点だ。企業側からすれば「顧客価値の再定義」となる。

 これはマーケティングの事例としてよく使われるセオドア・レビットさんの言葉が、この思考法の代表例と言える。

 彼が残した「4分の1インチ・ドリルが100万個売れたが、これは人びとが4分の1インチ・ドリルを欲したからでなく、4分の1インチの穴を欲したから」という至言は、顧客価値を問い直す福音とも言える言葉だ。

 つまり、ホームセンターでどのドリルを買おうか迷っている客は、どのドリルの性能がいいかで悩んでいるのではなく、真の悩みは「いま作っている棚のネジ穴を的確に開ける道具を欲しているのだ」というものだ。

 ドリルメーカーにとっては「より多様なネジ穴を開けるドリル」の提供が顧客価値となるが、ビジネスモデルという視点では、限定的だ。

 顧客の立場に踏み込めば、そもそもその棚が必要なのかという問いが生まれるからだ。お客にとっては、何か物を置いておく場所が必要なだけだったかもしれない。であれば、単に壁と壁に突っ張り棒を充てるだけで十分だろう。あるいはフックにリュックをかけ、そこにモノを収納しておくことも考えられる。

 すると提供する顧客価値は、「何かものを収納、飾っておく方法の提供」ということになり、ドリルの選択はそのなかのごくごく一部になる。

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