COLUMN ビジネスシンカー

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2019.06

グローバル時代を生き抜く 異民族に学ぶ海外ビジネスネットワーク

華僑社会で信用を得る3つのステップ

 では華僑社会で信用を築き上げていくにはどうすればいいのだろう。

 華僑社会においては、「外人」か否かということが一つの大きな目安となる。外人は「ワイレン」と呼び、外の世界の人を意味する。日本人が使う外人よりもっとはっきりとした区別になる。外人の関係では相手を信用していないので、嘘も平気でつくと言われている。外人のほかに、「外地人(ワイディレン)」とう言い方もします。どちらも同じ意味合いで使われるが、外地人のほうが一般的だ。

 では信用を得た人をどう呼ぶのでしょうか。それは自己人です。これは「ツージーレン」と呼ぶ。自己人は利害を超えた、深い段階に入った「信用」と「安心」が保証される関係だ。

 この自己人と呼べる関係に入っていけば、まず裏切られることはない。裏切れば、厳しい制裁があるからだ。

 自己人の領域は、安心と高い信用、裏表のない自己犠牲の関係でもある。華僑の人々は血縁、地縁による結びつきを重視する。先祖を同じくする人たちは「宗親会」、故郷を同じくする人は「同郷会」といった組織を現地でつくり、その人的ネットワークを通じて、ビジネスの知恵や情報を継承していくのだ。

 自己人の関係はまず、血縁から築かれる。地縁、さらに仕事などで知り合い、信用を得ていく業縁、さらに学業での学縁、社会奉仕など善行を行って知り合った善縁などに広がっていく。

 華僑の人が外部の人間に心を開かないと言われるのは、こうした「縁」に対する強い意識があるからである。

 では外人はいつまでも信用されないのだろうか。実はこの外人と自己人の間には途中段階がある。この段階の人を熟人「シュウレン」と呼ぶ。

 華僑社会においては、関係構築に「利」があると認めた相手に対して、互いに資源をギブ&テイクし合った結果、徐々に信用が高まり、走后門(ツオホウメン)という段階に入っていく。この段階では、非公式な裏話や秘密などを共有するようになる。ただ相手は完全に自己人の関係には入っていないので、非常に神経を使う段階であるとも言える。

 日本人の同士のように「話せばわかる」「いいものはいい」という価値観ではなく、最初から信用などされない、という前提でビジネスに入っていく必要がある。

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