COLUMN ビジネスシンカー

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2019.07

2500年前からの知恵 「孫子の兵法」に学ぶ

<newcomer&考察>
働き方改革のニューカマー! おひとりさま向け「街角個室」

 いま都会ではコワーキングスペースやシェアオフィスが増えているが、一方でネットカフェ等の「お一人さま向け」個室も広がりつつある。

 人間というのはとかく天の邪鬼で、「みんなと繋がりたい」と思ってSNSなどで友達や「いいね」を増やすことに躍起になったかと思うと、「一人になりたい」「放って置いてほしい」という心理も併せ持つ動物のようだ。シェアオフィスや、レンタルオフィス、ネットカフェが伸びている背景にはそのあたりの心理が働いているようだ。

 街なかに増殖する、「シェアスペース」に対して新たな広がりを見せているのが、「街角個室」だ。

 その名の通り、街角を一角ある個人向けの貸出スペースだが、おもに地下鉄駅などパブリックな場所に設置してあるのが特徴。移動の合間や商談前後のすき間時間などに利用できるとじわじわ広がりを見せている。

 最初にしかけたのは「東京メトロ」と「富士ゼロックス」。メトロの駅構内に電話ボックスのような完全個室「サテライトオフィスサービス」を昨年6月から今年3月まで、4駅で実証実験を実施している。オフィスというだけであって、その中身は充実しており、イス、テーブル、コンセントをはじめ、無料Wi-Fi、液晶モニターから膝掛け、鏡、文具まで備えている。実験中の利用料は15分で200円(税別)。今後は、駅構内だけではなく、オフィスビルにも設置予定だという。

 JR東日本も動いた。ウェブ会議システムの「ブイキューブ」が開発した一人用オフィス「テレキューブ」を「ステーションブース」を名付けて展開している。昨年11月から今年2月まで、新宿・東京・品川の駅構内に4台ずつ設置して実証実験が行われている。

 特徴的なのは個室と商談などができる複数タイプがあること。室内には机とイス、24インチモニター、コンセント、USBポート、スピーカー、Wi-Fi、防犯カメラ、非常ボタンなどを装備。またJR東日本では、2020年までに、コワーキング型の「ステーションデスク」と、複数人利用可能な個室「ステーションオフィス」を加えた、全3タイプを30カ所に設置する計画予定だ。

 

 この新しいタイプの場貸しビジネスは不動産業界が放っておかない。不動産大手ディベロッパーの三菱地所はブイキューブと提携して、大手町と丸の内のオフィスビル3棟のエントランスにこの「テレキューブ」を展開している。

 外からは見えない造りで、扉を閉めると外部のざわめきが微かに聞こえる程度の遮音性。利用方法は、基本的に利用したい時間帯を事前にスマホ予約の上、ブース到着後、スマホで電子キーを開けるという仕組み。2019年5月20日からは日比谷、赤坂、青山、横浜へ設置エリアを拡大中だ。

 ブイキューブもこの波を受け、専用の運営会社「株式会社テレキューブ」を設立している。

 個室を使いたいというのはビジネスパーソンだけではない。小さいこどもを持つパパ、ママも同じ。授乳やおつがえなどなにかと手間がかかる小さいお子さんは、いざその場所を探すといってもなかなか難しい。

 育児関連サービスのベンチャー「トリム」は、ベビーケアルーム「ママロ(mamaro)」を開発提供している。落ち着きや安心を強調する木製ボックスで、中からカギがかかる完全個室タイプだ。ベビーケアルームは一見ママの使い勝手を意識していると思われるが、働き方改革でパパの育児参加が増えている昨今、むしろ男性にとってありがたいスペースとなりそうだ。

 現在、市役所・公民館といった自治体施設や、大型ショッピングセンター、レジャー施設など、全国の公的空間、約70カ所に設置されており、利用料は無料トリムが無償で貸し出しているのではなく、施設側が利用者サービスの一環として捉えているので、施設側がトリムにレンタル料を支払う仕組みだ。

 これら個室ニーズは秘密性、秘匿性、プライバシーなどを気にする人やビジネスパーソン、個人などに高まっていきそうだ。空港やガソリンスタンドなど、待ち時間があるような場にはマッチングがしやすいモデルだ。

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