COLUMN ビジネスシンカー

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2020.02

いま世界が注目! SDGs時代に考えたい 日本人の知恵「三方よし」

三方よし精神で茶園農家と土壌づくりから向き合う「伊藤園」

「お〜いお茶」で知られる㈱伊藤園も、三方よしの考えを積極的に経営に活かす企業の1つだ。かつてはマッチョな体質の同社だったが、近年は「世界のティーカンパニー」を目指し、サステイナブルな経営を推進、2017年12月には全国務大臣が構成する持続可能な開発目標推進本部主催の「ジャパンSDGsアワード」で平成29年度「SDGsパートナーシップ賞」の受賞や環境コミュニケーショ大賞優秀賞、エコプロダクツ大賞など、事業領域全般で目覚ましい活躍をみせている。

こうした取り組みの原点が「三方よし」だという。

伊藤園がお茶の製造販売を始めて50年ほどだが、周知のとおりお茶業界そのものは歴史が長い。したがって新参者の伊藤園は最初の頃問屋に「お茶の葉を売って欲し
い」と言っても取り合ってもらえなかった。創業者の本庄正則さんは全量買い取りを条件に直接農家と契約。ようやくお茶を仕入れることができるようになった。

毎年全量を買い取ってもらうことは農家にとっては安定した収入が得られ、計画的な投資も可能になる。伊藤園としても高品質の茶葉が安定して手に入れることができる、いわば売り手よし、買い手よしの関係だ。こうしたビジネスモデルはいまでは珍しくないが、同社はさらに踏み込んだ展開をしている。お茶栽培農家と買取契約をするだけでなく、農家と一緒に土壌づくりまで行っているのだ。

実はこうした取り組みは創業の頃から行っていたという。この伝統は現在耕作放棄地を大規模茶園に変える「茶葉地育成事業」につながっている。それだけでなく、あわせて他業界からの新規参入支援も行ってる。

同社広報室によれば、他業界からの事例では運送業の企業が参入した例があるという。「運送業は時期によって繁閑の差があるので、その閑散期にお茶をつくることで、
仕事の平準化が可能になる。つくったお茶を自社で運べるメリットもある。増え続ける耕作放棄地という社会問題の解決策も提供できる」(同社広報室)

すなわち「世間よし」である。

ただ同社では前出のイシダのように「三方よし」を企業理念などにとくに明示しているわけではない。打ち出しているのは「お客様第一主義」だ。

よく掲げられる言葉だが、伊藤園の場合はその意味するところはだいぶ違う。同社のお客様とは「消費者の皆様」「株主の皆様」「販売先の皆様」「仕入先の皆様」「金融
機関の皆様」「地域社会の皆様」の6つのお客様を表す。

「伊藤園を取り巻く環境自体がお客様という定義づけです。持ちつ持たれつの関係ですから、皆さんが大切な存在なんです」(同社広報室)

同社にとっては世間もお客様なのである。

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