COLUMN ビジネスシンカー

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2020.04

先の見えない時代、ビッグデータ時代だからこそ学びたい 勝負師たちの「勘」

勘が鋭い人は、「譲る力」が強い

このほか桜井さんは、カンの鋭い人に共通していることがあるという。それは「譲る力が強い」ということ。

麻雀は4人でするゲームなので、弱い人も活かしていかないと試合にならない。そのため桜井さんは場を良くするために、運を譲ることをする時もある。

麻雀は毎回「親」というツモる先手の人がいて、そこから東西南北に回って、牌をツモって、不要と思う牌を捨てていく。川の流れと同じで、上手から下手へ流れていく。

上手の人はいわばゲームメークの役割を担う。一般に自分が勝つためには下手の人が欲しいような牌を捨てずに、止めようとするが、桜井さんは下手の人が動きやすいように、欲しい牌を出すこともするという(欲しい牌が上手の人から出た場合、『なき』と言って、その牌をもらうことができる)。

「だって、川上は川の流れのなかでも1番きれいなはずじゃないですか。川は下にいくほど汚いでしょう。だから上の流れをよくしてあげないと、下が打ちにくい。下が楽になるように、楽になるように打つ。それが回り回って自分に返ってくるんです」(『運を超えた本当の強さ』)

こうした流れを知っているからこそ、譲ることの意味とそれができる強さが分かるのかもしれない。

これは日常でいえば、上司が部下に仕事の手柄を譲る。あるいは電車で席を譲るといったことになると桜井さんはいう。日常生活のなかで譲る力をつけることができるのだ。

「得る力より、譲る力のほうが大きい。譲る力のほうが強い。つまり自分が強くなければ、譲ることができないということだ。生きることで精いっぱいだったら、誰も譲れないだろう」

そしてこうもいう。

「本当に強いやつは自分の運を減らすところから始める」と。

「だから会社でも上の人になればなるほど、譲らなければならない。『勝ち組』と呼ばれているほど、もっと譲らなければいけないのである」

なぜそうするべきなのだろうか。

それは人類が生き物として生まれてきてから、営々と続けてきた営みの源泉がそこにあるからだ。

「あなたは突然生まれたのではない。人類が生まれた何十年も前から延々とつながってきた命である。あなたはその命の永続性のなかで生きている。続いている命の1つでしかないのだ。だから、私たちは命を後世に残していかなければいけない。この世に生まれた責任は、授かった命を絶やさないことである」(『カンの正体』)

人類はいわば命の譲り合いで続いてきた。それは生き物の自然の営みだ。だからこそ自然のカンを取り戻そうとすれば、譲るということが大事になってくるのだ。「命の連続性の大切さを肝に命じておけば、いろいろな判断で間違うことがない。まっとうな生き方からはずれることもないだろう」。

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