COLUMN ビジネスシンカー

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2020.04

先の見えない時代、ビッグデータ時代だからこそ学びたい 勝負師たちの「勘」

ビジネス書のタイトルから内容を想像する

佐々木さんによれば、前者の想像力タイプにお勧めなのが、書店などで本のタイトルから内容を想像すること。最近の本はタイトルで
注目を引こうとする傾向が強く、手にして中身を開くまでなかなか内容が想像できないものがある。とくにビジネス書は、忙しいビジネスパーソンを相手にしているので、一瞬で目を引くようなタイトルが付けられていることが多く、勘に訴えるタイトルになっている。

そこでタイトルから書かれている内容を想像して、想像通りか否かをチェックしてみるのだ。

佐々木さんがもう1つ勧めているのが、ミニ株の取引だ。

株式は価格が上下するリスクがあるが、ミニ株ならそれほどの痛手を受けずに、自分の勘を鍛えることができる。株式の正確な価格を当てることは難しいが、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などのデータや知識を活用しながら、株価を読んでいくことは、勘を鍛えることに役立つ。

株価を五感だけで当てることは、多分桜井さんでも難しいだろう。でも知識やデータを使えば、大きくはずれるリスクも減ってく。
知識やデータは勘を使う際の補助線のようなもので、あるとないとでは、勘の働き方が違ってくる。データを見聞することから閃いたことを実行し、経験知を積み上げていくことで、勘が磨かれ、予想のブレが小さくなっていくはずだ。

勘について、佐々木さんも桜井さんや二条さんと同様に語っているのが、「小さな変化に気付く」ということ。とくに人間の脳は本来リスクに対しては高い感度を持っている。リスク感度を高めておけば、大きな間違いや失敗を起こしたり、巻き込まれる可能性は低くなる。

佐々木さんが勘を鍛えるために勧めるのが、「人間観察」だ。

たとえばいつも2 人一緒にやってくる担当者が1人だけで来たり、服装や顔色が違っていたりなど、よく見ておくと気づくべき変化は結構あるものだ。

とくに企業であれば、取引先の変化は、倒産や合併など自社の事業の存亡に関わってくることもある。勘を働かせて先手を打ったおかげで、大事に至らずに済んだ、大事故に繋がらずに済んだという話は枚挙に暇がない。

情報やデータが飛躍的に増えるなか、どのデータや情報を的確に選択し、経営や事業に活かすべきか。日々、瞬時瞬時に問われる時代となってきた。新型コロナの世界中での蔓延が示すように、データ扱いに優れた先進国でも対処の勘所を間違うと悲劇的な事態を引き起こす。ビッグデータ時代だからこそ、データや数字に振り回されないよう、日頃から「勘」を鍛えておく必要がある。

まずは自然体を知り、日頃の小さな変化に意識を向けることだ。

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