COLUMN ビジネスシンカー

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2020.05

新型コロナのいまと
コロナ後を考える

行政は専門家は信じるが、
市民を信用しない

アフターコロナについては、誰も正確なことは言えない。ただいくつかのシナリオを用意しておくことは重要だ。情報を取捨選択し、とるべき道を自律的にとるのだ。

イタリアで200万部のベストセラーを出した新鋭の作家パオロ・ジョルダーノ氏が『コロナ時代の僕ら』というエッセイを緊急出版した。物理学の博士課程まで学んだジョルダーノ氏は、CoV-2がイタリアで発見された時から拡大の懸念をし、ツィートを重ねていった。得意の数学で現状を分析しながら、広がる感染者と変わりゆく光景に変わっていく自身の感情や思いを書き綴ったが、その根底にはこんな問いがあったという。「すべてが終わった時、本当に僕たちは以前とまったく同じ世界を再現したいのだろか」

ジョルダーノ氏は日々現実に追いつけず、感情や認識が翻弄されるなか、現実の悪循環の原因についてこんな見解を述べている。「行政は専門家を信頼するが、僕ら市民を信じようとはしない。市民はすぐ興奮するとして、不信感を持っているからだ。専門家にしても市民をろくに信用していないため、いつもあまりに単純な説明しかせず、それが今度は僕らの不信を呼ぶ。僕たちのほうも行政には以前から不信感をいだいており、これはこの先も決して変わらないだろう。そこで市民は専門家のところに戻ろうとするが、肝心の彼らの意見がはっきりせず頼りない。結局、僕らは何を信じてよいかわからぬまま、余計いい加減な行動を取って、またしても信頼を失いことになる。

新型ウイルスはそんな悪循環を明るみにした。科学が人々の日常に接近するたび、毎度のように生じる悪循環だ。パニックはこの手の悪循環から発生する。発表された数字が原因ではない」

果たして日本はどうか─。

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