COLUMN ビジネスシンカー

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2020.06

ポストコロナ時代の羅針盤
知って目からウロコ!
開疎化の時代の産業集積入門

北の海で獲れる
スケトウダラの卵が
なぜ福岡で
明太子となったのか

明太子といえば、福岡市を代表する特産品だ。しかし原料となるたらこは北海道の北の海で獲れるスケトウダラの卵だ。ではなぜ九州で明太子として特産化したか。実はたらこは日本産だが、辛子でぴりからにした明太子は韓国の伝統食で、ルーツは別物なのだ。

日本では戦前から明太子を輸入していた。福岡でも博多港を通じて輸入していたが、その扱いはそれほど大きくなかった。ところが戦後になると福岡県は一躍明太子の生産地として発展する。2004年には辛子明太子全国生産量26,437トンの約71%を占めている。

福岡を一気に明太子のまちと知らしめるようなったのが、「ふくや」の初代社長の川原俊夫さんだった。川原さんは、戦前韓国の釜山に住んでいた時期があり、そこで毎日のように明太子を食べていたという。

終戦後沖縄から福岡に引き上げて中洲市場で食料店をひらいていた川原さんは、釜山時代を思い出して、自宅で辛子明太子を作り始めます。近所にも韓国や中国から引き上げてきた人がおり、おすそ分けをするようになっていく。

やがてその味が"本物に近い"と評判となり、これを売ってみようということになったのが始まりだった。しかし実際に売り出したところ、最初はクレームの嵐。味が辛すぎたのだった。どうしたら売れる明太子にできるかと川原さんは試行錯誤を繰り返していく。単に辛さを抑えるだけでなく、鰹節や昆布で出しをとったりなど旨味を加えることで、日本人好みの味にたどり着く。納得のいく明太子にたどり着くまで約10年の月日がかかっていた。

つまりふくやの辛子明太子は、韓国の辛子明太子とは違い、日本人向けにカスタマイズされたものなのだ。

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