COLUMN ビジネスシンカー

  • SHARE
  • LINE
2020.07

人間は実はいつだって不合理に行動する!?
知ってると知らないでは大違い。
行動経済学のキホン

競馬のレースで
5,000円儲け、次のレースで5,000円
負けた時、得した気分?
損した気分?

あなたが競馬をしたとする。2つのレースに賭けたとしよう。1レースめで5,000 円儲け、2つめのレースで5,000円負けてしまったとする。その時あなたの心の持ちようはどうだろうか? なんとなく損した気分になってはなってはいないだろうか?

「プラスマイナスゼロなら、別になんとも思わない」という人がいるかもしれない。たとえば同じ5,000 円にしても、時給1,000 円でアルバイトをしながら学費を稼いでいる大学生にとっては大金だが、年商10億円の商売をしてる小売店主にとっては大した金額には思わないかもしれない。当然、5,000円儲けても、一方は「大儲けした」と喜ぶだろうし、片方は「大した儲けではない」と眉一つ動かさないかもしれない。

でもだいたいの人は損した気になるものだ。こうした感覚や結果は、言われてみればよくある話ではないだろうか。

しかし従来の古典的な経済学では、こうした個人の感情や環境の影響は無視されていた。なぜなら、経済学が想定する人は「ホモ・エコノミカス」と呼ばれる"常に合理的な判断"をする人間だからだ。自分の時間や資源を常に最大の効率で活用し、最大、最高の結果を得るように合理的に行動する。まるでコンピュータでコントロールされたような人間がホモ・エコノミカス。自分にとって最高の結果だけを求める究極の「自己チュー」とも言える。

しかし近年、それは人間の実態とは合わないという声が経済学の専門家のなかから出てきた。こうして生まれたのが行動経済学である。

行動経済学は1990年代頃からアメリカを中心に発展し、人間の心理パターンを実験などから導いてその傾向を体系化していく学問だ。

経済学というと、国の予算など、大きなお金の流れを捉える話が多いので、経営学よりビジネスに役に立たないと思われがちだが、実践で応用できるセオリーが多く、とくにネットビジネスなどでは行動経済学を応用したマーケティングや商品開発が盛んに行われている。

もちろん一般のビジネスでも知っていると知らないとでは、商売の結果に大きな差が出て来る。

たとえば、先程の5,000円儲けて、5,000 円を失った場合に残る「損した感」は、行動経済学では、「損失リスク回避」という性向で説明できる。というのも人間は潜在的に損失を避けたいと思っている存在なので、プラスマイナスゼロでも損失したことの心理的影響の方が強く出るからだ。

一般に人間は同額の利益に対して、同額の損失を2倍から2.5倍強く評価する傾向がある。しかも男性より、女性のほうが強いことが分かっている。会社の職場やマーケティング戦略では留意しておきたいポイントだ。

  • LINE