COLUMN ビジネスシンカー

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2021.01

曖昧で不安なコロナ時代を生き抜くための
2つの思考法
アート・シンキングと
ネガティブ・ケイパビリティ

効率第一主義の人は目的と手段の連鎖を繰り返すだけで
真のゴールが見えていないのではないか

アートに触れることは、とかく既存のパラダイムやフレームになぞらえて軽々に判断しがちな現代人に、多様な視点を与え、育ててくれる。VUCAの時代に求められるのは、答えまでの最短距離の道を探るドライブ方法ではなく、ときに地図にさえ載っていない道を地形や樹木帯、生物相などを理解しながら別ルートを拓いていくことだ。

当然、リスクも伴うし、足止めを喰らうこともある。それどころか、後退を余儀なくされることもあるだろう。だからこそ知恵を絞り、さまざまなアプローチ方法を考え、さまざまな道具を揃える必要がある。

アートに触れる、とくにハイアートに触れることで視野が広がり、多様な視点を身につけることができ、さまざまなことに対応できる引き出しを増やすことが可能となる。そうして身についた視点や引き出しは、自分が自覚しないうちに発揮されることがある。

遺伝学の世界でいう「多面発現」である。これはある面で発揮される思考法や思考の癖が、生活の分野で発揮されることをいう。

例えば犬を飼うという行為だ。現代社会では、一般人は猟などを行わないので、犬を飼っておく必要はない。しかし、犬をペットとして飼う人は多い。これはもともと子どもを守るという人間の本能が犬に向いたと考えられている。

アートに触れ続けることで、自分の思考や得意なことが、これまでにない分野で発揮できる可能性もある。

いまはコロナでなかなか美術館やコンサートホールなどに足が向きにくいが、YouTubeなどでは、有名絵画作品や演奏の動画がいくつもあがっている。こうしたところでアートに触れることもいいだろう。

著名な芸術家の作品であれば、まずその芸術家や作品の定まっている評価を知った上で、何かを感じ取り、自分なりの評価や解釈をしてみるといい。さまざまな気づきが得られるはずだ。

もとよりアートと向き合うことは時間を要する。三浦さんは「むしろ即効性がないからいい」と話す。効率第一主義の世の中では、より速く大きな成果が求められる。しかし三浦さんはこうした効率第一主義で結果を残す人たちは、「手段と目的の連鎖を繰り返すだけで、真のゴールが見えなくなっているのではないか」と指摘する。企業人として、組織人としてならそれもいいのかもしれないが、果たしてそこに人としての人生はあるのかと問う。

人生の喜びや多様性を感じ取れる人が多い会社、組織のほうがより多くの社会の問題を汲み取り、よりよい解決法を見いだせるに違いない。

少しずつ、芸術に触れる時間を増やそう。

きっとコロナが明けた頃には、一皮も二皮も剥けた共感力の高い自分に出会うかもしれない。そんなニューノーマルな人がたくさんいる組織が、ポストコロナを生き抜き、これからの時代を切り拓いていくと信じたい。

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