COLUMN ビジネスシンカー

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2021.03

知らずに「奴隷労働の手先」になってはいないか 知っておくべき
”サプライチェーンのいま”<前編>

奴隷制度はまだ終わっていなかった!
英国内で1万3,000人の奴隷労働者

端的に言えば、奴隷制は終わっていなかったのである。

2015年に先立つ2013年に英国内務省が見積もった数字では、約1万3,000人が奴隷労働の状態に置かれているという。

英国では東欧諸国から「良い仕事がある」と連れて来られ、騙されて最初の話とはまったく条件の違う劣悪で低賃金な仕事に就かされ、東欧から英国までの交通費や狭く汚いアパート代などや斡旋量などを借金として負わされる人々が多数いたのである。

リトアニア出身のある男性の例では、英国で週350ポンドの住宅付きの仕事があると紹介されて来たが、放し飼いの鶏を捕まえるというまったく違う話の仕事を強要されたうえ、斡旋業者への仲介料とリトアニアからのバス代、割当てられた狭く汚いアパート代を請求されて、たちまち借金まみれになった。さらに賃金はたびたび未払いとなり、暴力や脅しも受け、食事が取れずに飢えに苦しむこともあったという。彼が捕らえた鶏は、英国の大手企業やスーパーに出荷されていた。

こうした例は現在の先進国の日常のなかに埋もれており、もしかしたら私たちも目をしっかり凝らせば見つけることができるかもしれない。

もっと見えにくく、わかりにくいのは遠い地で行われている奴隷労働だ。たとえば英国を代表する新聞「ガーディアン」は、タイの漁船で行われている奴隷労働の実態を報じている。そのタイの漁船では近隣のミャンマーやカンボジアから「いい仕事がある」と人身売買業者に連れて来られ、実際は働いても賃金は払われず、食事すらろくに取れず、暴力や拷問が日常的に行われ、あろうことか処刑されることもあったという。このタイの漁船から揚がったエビの行く先が欧米の大手スーパーの冷凍コーナーだった。

身近な商品のサプライチェーンの先に、こういった行為があるのだ。

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