COLUMN ビジネスシンカー

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2021.06

アフターコロナ時代を生き抜く技術発想
プリンタとエンジン技術の関係とは・・・
技術の応用力を磨け!
あの技術はこう生かされた!

プリンタと自動車の
エンジン性能を変えた
「ピエゾ式」

3Mの場合は、本来磨くべきマイニング技術より、そこから生まれた粘着技術に着目し、時代のニーズに応え業容を拡大していったわけだが、ポイントは1つの技術が業界を超えて次々と転用されたところにある。新たな市場が生まれれば、技術も広がるのは当然と言えば当然だ。

今は同じ基礎技術が異分野の中心技術を担っている場合もある。その1つが自動車業界とプリンタ業界で使われるピエゾ式と言われる液体の噴射技術。エプソンやキヤノン、ブラザー、リコー、富士フィルムビジネスイノベーション(旧富士ゼロックス)など大企業がしのぎを削るインクジェットプリンタのレベルはまさに日進月歩の世界だが、そのプリント表現はすでに銀塩写真を凌駕するほどの高詳細性を誇っている。インクジェットはその名通り、ノズルから微細なインクが用紙に放出されてプリントされるプリント技術。したがってこのノズルからの噴射の制御が精緻であればあるほど、高詳細で素早いプリントが実現する。

自動車のガソリンエンジンも同じで、シリンダのなかに入れる燃料の噴射が精緻で的確であればあるほど、低燃費でパワフルな走りが実現できる。

ピエゾ式は圧電素子と言われるピエゾ電子を使った装置で、インクや燃料を放出する際の噴射の開閉をより早く精密に制御できる特徴を持っている。インクジェットのプリント方式にはピエゾ式のほかサーマル式、静電吸引方式、熱変位方式などさまざまあるが、ピエゾ式の登場で従来の数倍のスピードの印刷、高詳細化、数分の1の省電力化が可能になるなど、大きなブレークスルーを起こしたのだ。

自動車の燃料噴射システムとインクジェットのインクノズルは原理的に近いため、新たな技術開発のためにたとえば自動車のエンジニアがプリンターメーカーからヘッドハンティングされることなども起こっていた。

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