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予想通り?意外??コロナ禍で売れたものとは

新型コロナが日本に上陸してから早9ヵ月。コロナ禍で人々の生活は変わってしまった。当然、売れるものも変わってくる。マスクや消毒液のニーズはいまだ高いが、自粛が続き、巣篭もり消費が定着すると徐々に、あるいは突然売れるものが変わってしまった。

いずれコロナが収束したらまた消費性向は変わるだろうが、人間の慣れとは恐ろしいもので、今の消費トレンドの大半はアフターコロナでも変わらないだろう。

そこで今回は、コロナ禍で売れている意外なものを紹介してみようと思う。想像がつくものと、そうでないものと分かれるだろう。ただ「意外」と思われるなかには、理由を聞けば納得するものも多い。もし、予想が合っていたら、ビジネスのセンスがあると言えるかもしれない。

品薄だったマスクは、
8月29日の転売禁止令解除で一段落か

まずは品薄となったマスク。1月の段階で一気に品薄になり、2月ともなるといわゆる「転売ヤー」がオークションサイトやフリマアプリで通常数十倍の価格で販売。なかには1月2,000万円の収益をあげた者もいた。背景には日本で売られるマスクの大半が中国製で、工場の稼働が止まったり、輸入が止まったことが原因だった。

一つの地域に大量の商品や材料が集中していることは、効率の良い生産につながるわけだが、有事にはまったく逆になることを改めて自覚したビジネスパーソンも多いのではないだろうか。マスクだけでなく、トイレットペーパーも品薄になった。鳥取県のある組合職員がSNSで「品薄になる」とつぶやいたことからたちまち拡散したことが原因で、全国のスーパーやドラッグストアの棚からトイレットペーパーが消えた。まるで1970年代のオイルショックさながらのパニックだが、21世紀に入ってもこうした事態が起きるのだということに驚かされた人も多いのではないか。その後、3月に転売規制が敷かれ、また国内メーカーがマスク増産だけでなく、新たに新規メーカーが参入して国を挙げての増産体制をつくりあげたことで、徐々にマスクが出回るようになった。

6月にはほぼ販売価格も正常化し、国は8月29日に品薄が解消されたとして、転売規制を解除した。ただ今後、冬にかけてはコロナ第二波、季節性インフルエンザの流行なども含め、再び品薄が懸念されるところだ。実はマスク生産は世界的にも中国製のシェアが強いが、医療用マスクなどの高品質不織布は東レなど日本メーカーがシェアを握っている。最終的に供給量はこの不織布メーカーの増産量に負うところが大きい。

使い捨てゴム手袋も2倍売上

コロナにダイレクトに関わる商品としては、うがい薬。4月の13 〜19日の1週間では、対前年比で359%(インテージ調べ)と激増した。また殺菌消毒薬が228%と2倍以上、体温計が183%と倍近くが出た。

またアルコール消毒剤が品薄になったことから、ウォッカなど高アルコール度数のスピリッツ・リキュールも伸び(対前年比で155%)た。

ケーヨーデイツーなど全国に840店舗のホームセンターなどを持つDCMホールディングスでは、使い捨てのゴム手袋が約2倍の売上となっている。

清潔関連消費では、石鹸やシャンプー、さらにはできるだけ衛生にしたいという意識からか、歯磨きや練り歯磨き、漂白剤などが売れた。

小麦粉、パンケーキ素材の品薄から
白玉粉の売上が急騰

国が3月に緊急事態を出してからは、「巣篭もり消費」という言葉が目につくようになった。なるべく外に出ず、出ても人との接触を避けるような行動が求められた。つまりステイホームでいかに楽しみを見つけるかが、Withコロナ時代に求められた消費行動だったのである。

全般的に伸びたのが、家庭用調理用品と食材。スパゲッティが173%、パスタソースが166%、鍋つゆなどの鍋補完材が189%などが伸びた。子どものいる家庭を中心に売り上げを伸ばしたのが、お菓子作りの材料。バニラエッセンスが251%、ホットケーキミックスや唐揚げ粉などプレミックス製品が245%、小麦粉が210%、シロップ類が176%など軒並み売れた。

小麦粉などは、急激な消費の伸びで、一時期スーパーから消えたこともあったが、この事態を受けて、今度は和食系の材料に火が点いた。とくに白玉粉は人気で、前年比5倍の売上を記録したメーカーもある。

ほかにドレッシングも顕著に伸びた。背景には栄養のバランスを考え、手っ取り早く野菜類を摂るには、手間要らずのサラダが便利ということがありそうだ。

セブン-イレブンは惣菜の売上が2倍

長期化する巣篭もり消費に欠かせないのが、長期保存が効く食材。ステイホームが浸透するにつれ、カップ麺や米、冷凍食品、缶詰が売上を伸ばした。

コンビニチェーンのローソンは9月18日、冷凍食品販売部門の売上が、4月以降約2割伸びたと発表している。またコンビニやスーパーでは冷凍食品と惣菜が伸び、セブン-イレブンでは、7月の売上が対前年比で冷凍食品が1.5倍、惣菜が約2倍となった。

またレトルト食品も売上を伸ばした食品の1つで、とくにレトルトカレーが人気だ。KSP−POSデータによるとレトルトカレーは、金額ベースで2月が昨年比24%、3月42%、4月が40%と急激に伸びた。もともと近年レトルトカレーの人気が高まっており、コロナがさらに引き上げた形となった。

またスナック菓子も軒並み売上を伸ばしている。柿の種で知られる亀田製菓は、ラインをフル稼働しても生産が追いつかない常態が続いている。ざっと対前年比で約1.2倍は伸びたという。

食材を入れるジッパー付きの保存バッグ類も売り上げ好調だ。

きのこ類、キムチ、納豆、発酵食品も人気

新型コロナ向けのワクチン開発がいま世界中で進められているが、仮に臨床でOKが出ても量産し、一般の人がその恩恵に預かれるのは、まだまだ先。なので対策の最善策は接触を控えることだが、ウイルスが付着して、体に侵入してもウイルスに対抗できる強い身体、すなわち免疫力を高めることが、自衛の基本だ。

そのためか、免疫力を高める機能性食品や発酵食品の売上も伸びた。スーパーチェーンの「LIFE」によると4月段階の対前年比では、きのこ類が2〜3割伸びた。またキムチ、納豆などの発酵食品、乳酸菌飲料なども軒並み伸びた。

家電調理系で人気「ホットプレート」

家にいる時間が増え、家食が多くなると冷蔵庫やテレビなどの家電品を見直す機会にもなる。

家食時間、機会が増えたこともあって、コロナ以後は調理家電が人気だ。家電量販店大手のヨドバシカメラでは、調理家電で最も人気なのが、ホットプレートだった。家族一緒に乗せて焼くだけという手軽さが受けているようだ。ビックカメラの場合は、4月時点で約2.5倍、ホットプレートが売れた。ほかにはホームベーカリーが売れている。また何でも調理できる圧力鍋も人気だという。

同じ家電量販店のケーズデンキでは、白物家電が好調だ。2月の時点で冷蔵庫が1.5倍の売上を示した。巣篭もり消費向けに買い替え需要が高まったと見ている。他の家電量販店でも一時期は売上が下がっていたが、7月くらいからは客も戻りはじめ落ち込んだ白物家電が伸びたという。家庭で調理する機会は増えても、準備や後片付けに時間をかけたくない。ということで食洗機も売れている。

在宅時間が長くなり、買ってよかったもの1位、
ロボット掃除機

また家電の王道、テレビも人気だ。五輪が延期になり、テレビ需要は落ち込んだと思いきや着実に伸び、4月の段階で4Kテレビが各社平均で対前年比1.2倍を示した(BCNランキング)。アナリストは巣篭もりでテレビを観る機会も増えたことや、10万円寄付金がこうした消費の後押しをしたと見ている。

ほかにコロナ禍で室内をできるだけきれいにしたいという消費者心理を受け、空気清浄機も売れている。福井市の100満ボルト福井本店では3〜5月の空気清浄機の販売が対前年比で180%となった。

全国で429店舗のホームセンターを展開するコーナン商事では、意外にもトイレの便座につける温水洗浄機が売れ筋となっているという。

そのほか便利家電と呼ばれるロボット掃除機なども売上が増えた。雑誌DIMEのアンケートによると、自粛期間中、役立った家電のうちロボット掃除機は1位だった。在宅ワークや子どもの休校などで、家族が家で活動する時間が増えて埃も溜まりやすかったことなどが背景にある。

テレワークセットでは、メモリ、外付けSSDが人気

3密を避けできるだけリモートで仕事をする…。政府の8割減の目標もあり、企業はリモートワークを一気に推し進めることになったが、そこでにわかに需要が出たのが、PC、ワイファイルーター、WEBカメラ、パソコンデスク、パソコンチェアなどの需要だ。PCは営業関係者はノートPCを持ってるケースが多いが、自宅用として大きな画面サイズのPCを購入する例も多い。またマイクとヘッドフォンがセットになっているヘッドセットも売れている。

そのテレワーク関連でもっとも売れたのが、メモリの1つ外付けSSD。PCを持ち歩くのではなく、メモリを持ち歩いて仕事場、あるいはネットカフェなどで使うスタイルが浸透してきたと言える。

家電系では、女性向けの美容家電も好調だ。エステサロンなどへ通う女性が3密を避け、自宅でできるエステのための美容家電を求めたことが大きい。

大人向けの色鉛筆がじわじわ来ている

おうち時間が増えたのも子どもたちも同様だ。そのため自宅で学習する学習参考書や図鑑、事典類が売れている。

また巣篭もりで一気に売上を伸ばしたのが、電子書籍。とくにマンガ関係の伸びは大きく、「めちゃコミック」で知られるインフォコムは対前年比で22%伸ばし、営業利益を68%上げている。

オンラインの学習塾や英会話も契約数を伸ばしている。オンライン英会話大手のレアジョブは、小中高校生向けの無料サービスに登録した数が休校前の週に比べ、4. 2倍に増えた。

書店では大人向けの塗り絵が好調だ。その影響で塗り絵用の色鉛筆も売れている。色鉛筆や鉛筆の売上増を支えているのは、SNSなどで作品を紹介している「にわか似顔絵画家」。自宅にいる時間が増えた若者や学生などが新しい趣味、自己表現として似顔絵を始める例が増えているという。

自宅で大人も子どもも楽しめるといえば、いまどきはゲーム機&ソフトだ。なんと言っても巣篭もり下における任天堂の売上は凄まじく、話題となったNintendoSwitchの「あつもり」こと「あつまれ どうぶつの森」が牽引し、売上高が前年比で2倍の3,500億円以上、営業利益が5倍以上の1447億円を達成している。

いまどきらしくゲームはテレビゲームかPCゲームかと思いきや、アナログなボードゲーム、トランプ、パズルなども好調で、ヨドバシカメラでは対前年比1.5倍だという。

密な通勤を避ける自転車も人気

いかにゲームが楽しくとも、ずっと巣篭もりをしているわけにはいかない。人間はある程度、外で活動しないとストレスから免疫力が下がる。かといって野球場やサッカー場で叫ぶことはできない。そこで増えたのがキャンプ。お笑い芸人のヒロシがソロキャンプの魅力をYoutubeで紹介してから、1人のキャンプを楽しむ人が増え、また家族単位でキャンプを楽しむ人も増えたことからキャンプ用品をはじめとしたアウトドア用品も売れている。

また職場への移動の間の感染リスクを避けたい人を中心に、自転車も売れている。電車が走っていない沖縄でも自転車人気は高まっており、県内最大級の専門店・沖縄輪業での4月の売上は、子ども用とクロスバイクが対前年比で2割増、電動アシスト自転車も1割伸びた。また購入者の増加、使っていない自転車の利用などで修理の依頼も増えたという。

家庭ではダニよけ剤が売上を伸ばす

自宅消費で意外に伸びたのが、殺虫剤。大手製薬会社のアース製薬では、当初外出自粛で売れないと予想したが、蓋を開けると1月〜7月期で売上は例年を2割上回った。換気のために窓を開ける機会が多く、空いた窓から虫が入ってくるのがその理由らしい。

また、普段以上に清潔さが気になるのか、ダニよけ用品が6割増しで売上が推移しているという。

マスク装着がスタンダードになり、
美容整形が世界的に増える

ほかに意外に伸びているのが、美容整形。Withコロナでマスクが外出のスタンダードとなり、隠れた口元の整形をする女性が増えている。この傾向は日本だけでなく、世界的な傾向で、アメリカやイギリス、オーストラリアなどでも同じだ。美容大国韓国ではコロナ禍のなかで、患者が1.5倍に増えた病院もある。

また、意外というべきか当然というべきか、セルフプレジャー、いわゆるアダルトグッズも売上を伸ばしているアイテムの1つだ。東京都内で7店舗を展開するワイルドワンでは、自宅時間が増えた男性や女性が購入していくという。

ざっとコロナで売上を伸ばした商品を見てきたが、果たして、想像通りだったろうか。全体として落ち込んでいる分野でも、個々にみていくと商機はあるものだ。粘り強く、市場をウォッチして、市場をこじ開けよう。

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