COLUMN ビジネスシンカー

  • SHARE
  • LINE
2021.11

エコノミスト・アナリストはこの経済指標を使う! ビジネスマンだけではなく、
日本人が知っておきたい経済指標

GDPは実質GDPで最終判断をする

注意しなければならないのは、GDPには名目GDPと実質GDPの2つがあることだ。名目GDPとは、国内で生み出された付加価値を単純に積み上げた数字。しかしこの数字をそのまま経済成長率として確定すると、まずいことが起こる。

GDPが増えるのは、需要が拡大し消費が盛んになる時だが、それ以外にも増える要素がある。それは物価が上昇した時。100円の商品が100個売れた時には10,000円で、110個売れた場合は11,000円となり、10%アップする。しかし100円のものが110円に上がって100個売れても11,000円になる。この場合、値上げが付加価値分ならいいが、中身の材料費や工賃が上がっただけなら実際は需要が増えていることにはならない。よってこの差を調整する必要が出てくる。それが実質GDPである。

日本はリーマン・ショックの時、GDPが大きく落ち込んだが、この時期は米、欧州ともに落ち込んでいる。しかしその後名目GDPは米欧ともに伸びており、日本は沈んだままだった。しかし実質GDPで見てみると、日本はドイツなどを除く欧州より経済成長を果たしている。

GDPは基本的にこうしたインフレやデフレの調整をして年間の成長率で見ていくので、単純に積み上げた名目GDPだけでその国の経済成長力を測っていると、大局を見誤ることになりかねない。

  • LINE