COLUMN ビジネスシンカー

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2021.11

【new comer&考察】
プロテインはかまぼこで摂る時代!?
盛り上がる“フィッシュプロテイン”市場

いまや高校生、中学生から運動部でも当たり前にプロテインを摂取する時代。プロテインをはじめとする良質なタンパクの摂取は世界的な課題だ。

以前このコラムで昆虫食を取り上げたが、そのきっかけはFAOが世界的な人口増に対するタンパク質不足であった。この地球で生まれる食糧はカロリーベースでは90億人超まで賄えるという試算がある。世界人口はマルサスの予言した「幾何級数的」には増えず、いずれ頭打ちになる。最新のデータでは80億人程度で頭打ちとなり、その後は減少するという。だが問題はバランスの良い栄養、とりわけタンパク質の不足だ。

2021年現在、この地球には約78億人の人々が住んでいるが、まだ8億人以上が飢餓に直面している。理由は食肉の偏在にある。

一般的に人々の所得が増えると肉の消費が増えるのが一般的だ。この20年ほどは特に中国をはじめBRICsと呼ばれる新興国が急激な経済成長を遂げ、世界的に中間層が増えて肉の消費が増えたのである。

肉はタンパク質を摂取するには効率がいい。しかしそのためには多く飼料や水が要る。一般に牛肉1kgを得るためには、大豆などの穀物10kgと灌漑用の水16,000リットルが必要とされる。栄養摂取という視点からは牛肉を食べることは非常に効率がいいが、牛肉自体の生産性は低く、環境負荷も大きいのである。

このような背景もあってここに来て拡大しているのが、大豆などから生まれた疑似肉などの代用肉市場だ。すでにマクドナルドやロッテリア、モスバーガーなど大手ハンバーガーチェーンでも続々と代用肉が採用され、一般向けの代用肉も冷凍食品としてスーパーで手に入れることができる。

一方こうした情勢を横目でにらみつつ新たな市場を拡げているのが、蒲鉾だ。ここでいう蒲鉾はかまぼこのほか、ちくわや、カニかま、はんぺんなどの魚のすり身を使った練り製品のことを指す。もともと蒲鉾は白身魚などの良質のタンパク質を含む日本の伝統食として知られるが、その必須アミノ酸をバランス良く含むなど高い栄養素とカロリーの少なさなどが注目され、「フィッシュプロテイン」としてアスリートたちに受け入れられるようになった。

かまぼこの名産地として名高い神奈川県小田原市に本社をおく老舗蒲鉾メーカーの鈴廣は、サッカー日本代表の長友佑都選手と共同で、フィッシュ・プロテインバー「挑・蒲鉾(ちょう・かまぼこ)」を開発、販売を開始した。

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