CONTENTS 記事・コラム 詳細
  • ビジネスシンカー

生成AIを「いちばん優秀な新人」として迎える 使いたいけど踏みとどまっている人のための実践生成AI入門 その2 ─数字編─

 前回は、AIに対する2つの不安を分解し、基本手順と、できることの3段階を紹介した。今回は日常の作業のうち、最も期待が大きく、そして最も事故が多い領域、数字を扱う。日報から売上を拾い、週ごとにまとめ、月ごとにまとめる。先月比と前年比を出し、そこから来期を予測する。毎月半日かけている作業が指示1つで終わるなら、これほどありがたい話はない。
 だが帝国データバンクの調査で、AIを活用している企業が主に何に使っているかを見ると、「データの集計・分析」は7.4%にとどまる。トップの「文章の作成・要約・校正」45.1%と比べると約6分の1だ。やりたいのに、できていない。その理由は、たぶん統計の知識ではない。もっと手前にある。

■まず、ふだんの仕事を書き出す

 なぜ、数字の仕事でAIが使われないのか。統計の知識がないからではない。理由はもっと手前にある。
 AIに指示を出すには、自分が何をやっているかを説明できなければならない。ところが、ふだんの仕事を人に説明できる人は、思ったより少ないのだ。
 毎日、日報をつけている。月末に集計して、月報にまとめている。ここまでは誰でも言える。では、その月報を最終的に誰が何に使っているのか。なぜその項目なのか。なぜ週ではなく月なのか。
 答えられる人は、多くない。前任者から引き継いだまま、習い性となるでやっている。それが実態だろう。
 これは怠慢ではない。長く続いている作業ほど、目的が説明されないまま形だけが残る。どの会社にもある話だ。
 ただ、AI 相手にはこれが効いてくる。AIは「なぜやるんですか」と聞かないからだ。頼めば、目的の分からない作業を、忠実に、正確に、速くしてくれる。つまり、無駄な作業が高速で回り出す。
 だから最初にやるのは、統計を勉強することでも、用語を覚えることでもない。ふだんやっていることを書き出して、分解することである。

■分解のための、5つの問い

 自分の作業を1つ選んで、次の5つに答えてみてほしい。月次の売上集計でも、在庫報告でも、何でもいい。
 ①この作業に、どのデータを使っているか。②そのデータに、あなたはどんな加工をしているか。③何を、どの形で、誰に出しているか。④受け取った人は、それを何に使っているか。⑤もし出さなかったら、誰が、いつ困るか。
 ①から③までは、たいてい書ける。手が止まるのは④と⑤だ。
 とくに⑤である。「出さなかったら誰が困るか」に答えられない作業は、実のところ、AI 化の前にやめられないかを考えたほうがいい。
 逆に、④と⑤に答えられた作業は、AIに渡せる形になっている。目的が分かっていれば、どこを省いてよくて、どこを省いてはいけないかが判断できるからだ。
 ②の「加工」についても、もう少し細かく見ておきたい。ほとんどの作業は、次の4つの組み合わせでできている。
 転記する。集計する。比較する。判断する。
 このあと見ていくとおり、AIに任せていい工程と、人が持つべき工程は、この4つのどこに当たるかで決まる。自分の作業がどれの組み合わせでできているかが分かれば、それだけで半分は片付いたことになる。
▶分解もAIに手伝わせる:「私は毎月こういう集計をしています。この作業の目的を確認するために、私に聞くべきことを挙げてください」。その1で書いた、AIに質問させる使い方である。返ってきた質問の中に、自分が答えられないものがあれば、そこが空白だ。
▶先輩に一度だけ聞く:「この月報、最終的に誰が何に使っているんですか」。一度聞いてみる価値はある。誰も答えられないなら、それがその作業についての答えでもある。

■5W1Hは、この分解に使えるか

 日報や企画書のフォーマットとして、5W1H、あるいはHow muchを加えた5W2Hを使っている会社は多い。これはこの分解に使えるか。
 使える。ただし、役割が違うことは押さえておきたい。
 5W1Hは、できあがったものを説明するための枠である。抜けを防ぐのに優れていて、だからこそ報告書のフォーマットとして定着した。一方、5つの問いは作業を分解するための枠だ。並び順に意味がある。入口、加工、出口、下流、存在理由。作業が流れていく順に並んでいる。
 対応させた表が次のものだ。

5W2H5つの問いのどこにあたるか補足
What①使っているデータ/
③出しているもの
入口と出口で2回出てくる
How②どんな加工をしているか転記・集計・比較・判断のどれか
Who③誰に出しているか受け手が特定できない報告は要注意
Why④何に使われるか/
⑤なければ誰が困るか
2種類あるので、5つの問いでは分けた
When(5つの問いにはない)頻度と締め日。あとで効いてくる
Where(5つの問いにはない)データがどこにあるか、と読み替える
How much(5つの問いにはない)月に何時間かけているか。優先順位を決める
【表1】5W2H と、5 つの問いの対応

 見ていただくと分かるとおり、5W1Hのほうが網羅的である。ただ、2つだけ注意がある。
 1つは、Whyが1つしかないこと。「その作業をやる理由」と「受け取った人がそれを必要とする理由」は、別のものだ。前者は会社の中で完結するが、後者は下流にある。④と⑤を分けたのは、ここを分けないと空白が見えないからである。
 もう1つは、フォーマットは埋まると安心してしまうことだ。日報の「目的」欄が毎月同じ文言で埋まっているなら、それは空欄と変わらない。枠があることと、答えがあることは違う。
 逆に、5W2Hから借りたほうがいいものもある。How muchだ。ただし金額ではなく、工数として使う。
 その作業に、月に何時間かけているか。これを書き足すだけで、どこから手をつけるかが決まる。月30 分の作業と月8時間の作業では、AI導入の価値がまるで違ってくる。ところが、手間がかかっている作業ほど、当たり前になっているので意識から外れていることが多い。
▶工数を先に測る:1か月だけ、その作業にかかった時間を記録する。分解の紙の隅に「月◯時間」と書いておく。効果を後で説明するときにも、この数字が要る。Whenも、思ったより効く。月次集計を「月初3営業日以内」にやっているなら、締め日をまたいだ伝票の扱いが必ず問題になる。あとで出てくる話だが、ここは定義がぶれる最大の場所である。

■目的が分かると、頼み方が変わる

 分解の効果は、具体的に出る。
 たとえば月次の売上集計。目的が「経営会議での報告」なら、必要なのは前年同月比と、大きく動いた項目の理由である。細かい商品別の数字は要らない。
 ところが目的が「在庫発注の判断材料」なら、必要なものはまるで違う。商品別、サイズ別、直近の動き。前年比よりも、直近4 週の傾向のほうが効く。
 同じ「月次売上集計」という名前の作業でも、目的が違えば作るものが変わる。目的を書かずにAIに頼めば、AIは平均的な月次集計表を作ってくる。悪くはないが、どちらの用途にも中途半端なものになる。
 その1で、指示に入れる4つの要素—役割、背景・目的、条件、出力形式—を挙げた。初心者がいちばん書き落とすのが、②の目的である。そして目的を書けない理由は、たいてい、自分でも分かっていないからだ。
 分解とは、その空白を見つける作業にほかならない。

■原稿の字数を、7回数え直した話

 回数を重ねれば精度が上がる、という思い込みについても書いておきたい。
 原稿の文字数だ。たとえば8,000字で書こうと文字数指示を与える。下書きを作り、修正指示を与え、この文字数で書いてと指示する。出来上がる。数えると6,656字。1,300字以上足りない。書き足しの要素を与え、スタイルを調整して、8,000文字の指示の加筆・整文指示を出す。出来上がった文字をまた数える。10,753字。今度は多すぎる。削る。10,451字。まだ多い。
 7回繰り返してようやく収まった。文章量にもよるが、だいたい一発では当たらない。
 大事なのは、なぜ収束したかである。毎回、文章作成ソフトで実際に数えていたからだ。つまり外に正解を測る道具があったから、差分が詰まったのだ。
 もし数えずに「もう少し短く」と言い続けていたら、どうなっていたか。毎回それらしい長さのものが出てきて、回を重ねても正解には近づかない。それどころか、もっともらしさだけが上がっていく。ただAIによってはPython(プログラミング言語の1つ)ベースの計算を行うようになり、かなり正確になっている。正確さは上がっているが、あくまでAI内の計算である。的確さ、正確さを求めるなら、Wordなどの文字カウントで確認する必要がある。
 つまり、測る道具を持たずに回数だけ重ねると、上がるのは精度ではなく「それらしさ」だということだ。このことは売上分析においても、同じことが起きる。

■AIが数えるのか、機械が計算するのか

 ここで、誤解を1つ解いておきたい。前回「AIは数を数え間違える」と書いた。だが、そこから「AIに数字の仕事はさせられない」という結論を出すのは、行き過ぎだということ。
 信用できないのは、表をそのままチャット画面に貼り付けて「合計は」「いちばん多いのはどれ」と聞く時。このときAIは、文字の並びを見て「だいたいこのくらい」と目分量で答えている場合がある。チャットに貼った数字について、必ず計算ツールが使われるとは限らない。重要な集計では式やコード、途中結果を確認する。
 信用できるのは、AIに関数やプログラムを書かせて、計算そのものは表計算ソフトにやらせる場合だ。計算しているのは機械であって、AIではない。だから正確になる。ChatGPTのデータ分析機能やExcelのCopilotが実用になるのは、内部でこの受け渡しが起きているからである。ただ最近は前述の文字数のように必要に応じてPythonベースの計算を行うようになって、確度は上がっている。
 それでも、分析のために数字は絶対的なものを求められるので、確認は必要だ。見分け方がある。
▶ 2回聞く:同じ質問を2回して、数字が変わったら、それは計算ではなく推測である可能性が高い。AIは確率で言葉を選ぶので、目分量の答えは毎回ぶれる。式を実行して出た数字は、何度聞いても同じになる。

▶式を見せてもらう:「どの式で計算したか、途中の数字も見せて」と聞く。仕組みを示せないなら、勘で答えている。
 したがって実務上のルールは、こうなる。AIには式を書かせる。計算は機械にさせる。前提の確認は人がやる。
 ただし、計算が機械に渡っていても安心はできない。算術は正しいのに前提が間違っている、という事故が起こるからだ。列の取り違え、空欄の扱い、「1,200円」のような文字列を数値と誤認、日付の解釈違い。式が動いてしまうぶん、かえって間違いに気づきにくい。計算機能がなかった頃より、むしろ厄介かもしれない。

■日報の集計は、4つの工程に分ける

 実際にどこを注意すればいいのか。伝票や日報から売上と税額を拾い、週次・月次にまとめ、先月比・前年比を出す、という一連の作業を、危険度で分けてみたい。

工程危険度理由
①伝票から数字を拾う高読み取りミス。しかも、もっともらしい数字が出るので気づけない
②週次・月次に合計する低機械に計算させるかぎり正確
③先月比・前年比を出す高計算ではなく「定義」がぶれる
④増減の理由を考える低AIが最も役に立つ工程

①転記─ここが本丸
 伝票の画像やPDFをAIに読ませて数字を拾わせるなら、前回書いた「画像の細部が苦手」がそのまま効いてくる。桁の見落とし、1と7の取り違え、複数税率が並んだ欄の対応ずれ。
 日報が自由記述なら、さらに厄介だ。「A 社に3件納品、うち1件は先月分の振替」といった文章から数字を拾うとき、AIは振替分をどう扱うかを勝手に決める。そして、決めたことを報告しない。もし自由記述からも的確な数字を引き出すなら、数字の書き方をルール化する必要がある。
②集計─ここは安全
 週次・月次の合計そのものは、関数やピボットテーブルに計算させれば正確である。AIは式を書くだけで、計算には関与しない。
 ただし条件が1つある。毎週AIのチャット画面に表を貼って聞く、という運用にしないことだ。それをやると機械が計算する経路から外れ、目分量に戻ってしまう。
▶仕組みを作らせる:AIに任せるのは「集計する仕組みを作ること」であって、「毎週集計すること」ではない。一度ピボットや関数を組めば、以後は機械が正確に計算する。AIの出番は、出た数字を読むところから始まる。
③比較─計算より、定義が危ない
 先月比・前年比は、割り算そのものは簡単である。危ないのは、その前の取り決めのほうだ。
 とくに税は注意が要る。消費税は10%と軽減税率8%が混在し、端数処理をどうするか、税額を割戻し計算で出すか積上げ計算で出すかによって、集計額が変わる。インボイス制度下では法定の取り扱いがあるので、ここをAIに推測させてはいけない。何も指定しなければ、AIは何らかの方式を黙って選び、どの方式を選んだかは書かない。
 売上の定義も同じだ。税抜か税込か。返品・値引をどの月に戻すか。締め日をまたいだ伝票をどちらに入れるか。
 そして、週と月は割り切れない。週は月をまたぐ。4週で終わる月と5週ある月がある。前年同月は曜日構成が違い、営業日数も違う。「前年比105%」が、実は営業日が1日多かっただけ、ということが起こる。
▶定義を先に決める:前年比・先月比は、計算より定義が先。税抜か税込か、返品をどの月に戻すか、締め日をまたいだ伝票をどちらに入れるか。指定しなければ、AIは黙って決めて、決めたことを報告しない。
▶前提を吐かせる:「この計算で、あなたが自分で決めた前提をすべて挙げてください」。この1問を足すだけで、黙って決められたことが表に出る。確認を注意力に頼らず、手順に変えられる。
▶営業日数を併記:前年同月比の隣に「営業日数22日/前年21日」と置いておく。1日の差が5%近い違いを生むので、これがないと増減の意味が読めない。
▶検算を仕込む:日次データから月次合計を直接出して、週次合計の積み上げと突き合わせる。月をまたぐ週の処理が間違っていれば、ここで数字が合わない。
④解釈─ここがAIの出番
 数字が確定したあと、「前年比で落ちている商品群の共通点は」「この伸びは季節要因で説明できるか」と問う。これがAIの最も価値を出す工程である。
 確定した数字を渡すのだから、AIが数を扱えないことは問題にならない。読むこと、分類すること、仮説を出すこと—前回の言い方をすれば、確認を前提に渡せる3つがそのまま当てはまる。
▶伸びた理由を聞く:落ちている理由より先に、落ちていない理由を聞く。「前年割れの中で、唯一伸びている商品群がある。その理由として考えられることを5つ」。伸びた要因のほうが、打ち手に直結する。
▶自分の仮説を叩かせる:「私はこの落ち込みを新商品の投入時期のずれだと考えている。この見立ての弱点を指摘してください」。白紙で聞くより、はるかに鋭い指摘が返る。

■3,000行を前にして、手が止まる

 工程が見えたところで、実際の作業に移りたい。ここからは、困りごとを先に書く。
 月末である。手元に売上明細が3,000行たまっている。1行が1件で、日付、商品コード、数量、単価が並んでいる。これを「商品別×月別の売上合計」の表にしたい。
 やり方はフィルタを使うこと。
 フィルタというのは、表の中から条件に合う行だけを表示する機能。3,000行の明細から「商品コードがA-100のものだけ」を選ぶと、それ以外の行が一時的に隠れて、該当する行だけが並ぶ。消えるわけではなく、隠れるだけ。これもExcelに最初から入っている。
 そこで、商品ごとにフィルタをかけて、表示された範囲を選んで、画面の下に出る合計を読む。メモする。フィルタを外して、次の商品に切り替える。100商品あれば、100回。
 関数を使う手もある。SUMIFSという式を書けば、1つのマスに答えが出る。ただし商品の数だけ、月の数だけ書くことになる。100商品×12か月なら1,200個だ。
 どちらも、やればできる。ただ、やりたくない。しかも来月また同じことをする。
 この「やればできるが、やりたくない」が曲者である。たいていの人は、ここで手が止まる。そしてAIにも頼まない。何を頼めばいいのか分からないからだ。
 ところが、この面倒のために作られた機能が、最初から入っている。
 ピボットテーブルだ。

■ピボットテーブルという道具

 ピボットテーブルは、ひとことで言えば、同じ値の行を自動的にまとめて合計する機能である。
 たとえば商品コードを指定すると、A-100の行を全部拾って合計し、A-101の行を全部拾って合計し……という作業を、出てきた商品の種類だけ、勝手に繰り返してくれる。さきほど手でやろうとした100回のフィルタ作業を、中で自動的にやっているわけだ。

 しかも、行と列の2 方向で同時にまとめられる。商品別にまとめながら、同時に月別にも分ける。だから「商品別×月別の売上合計」という表が、一度にできあがる。
 操作も、数式を1つも書かない。
 明細のどこかのマスをクリックして、画面上部の「挿入」タブにある「ピボットテーブル」というボタンを押す。すると、空っぽの表と、項目の一覧が画面に出てくる。項目の一覧には、明細の見出し—日付、商品コード、数量、単価、売上が並んでいる。
 あとは、その一覧から「商品コード」をマウスでつまんで「行」の枠に、「集計月」を「列」の枠に、「売上」を「値」の枠に、それぞれ引っ張って入れる。入れた瞬間に、表ができる。
 関数ではないので、式を書き間違える心配もない。
 利点は3つある。
 1つ、元のデータに一切触らないこと。集計表は別に作られるので、明細が壊れる心配がない。
 2つ、翌月も使い回せること。データを差し替えて更新ボタンを押せば、同じ形の表が作り直される。
 3つ、見方をすぐ変えられること。「商品別」を「担当者別」に、「月別」を「週別」に、ドラッグし直すだけで切り替わる。先に書いた「目的によって必要なものが変わる」に、そのまま対応できる。
 数式が苦手な人ほど、ピボットテーブルのほうが速い。関数を覚えるより先に、これを覚えたほうがいい。
▶作り方を聞く:「 Excelで、A列が日付、B列が商品コード、F列が売上の明細があります。商品別×月別の売上合計をピボットテーブルで作る手順を、初めての人向けに書いてください」。画面の名称まで含めて返ってくる。
 道具は、たいてい困りごとから生まれた形と機能を持っている。誰かが同じことを面倒だと感じたから、その形と機能が作られた。だから「面倒だ」と感じた瞬間が、道具を探すべきタイミングである。
 ところが初心者は、面倒を面倒と認識しない。前任者からそうやって引き継いだ。みんなそうやっている。だから「そういうものだ」と受け入れてしまう。
 前半で工数を測ろうと書いたのは、このためでもある。月に何時間かけているかを数えると、それまで当たり前だったものが、急に面倒に見えてくる。そこが入口になる。そこでポイントとなるのが、「面倒の言語化」である。
▶面倒を言語化する:「Excelで、商品ごとにフィルタをかけて合計をメモする作業を100回やっています。もっと楽な方法はありますか」。道具の名前を知らなくていい。面倒の中身をそのまま書けば、道具のほうから出てくる。

■分からないことは、何度でも聞く

 ここまでのコラムで、フィルタ、ピボットテーブルと、聞き慣れない言葉が続いた。このあとGEOMEANという関数も出てくる。
 もし1つでも「よく分からない」と感じたなら、その場でAIに聞いてほしい。これがこの回でいちばん伝えたいことかもしれない。
 AIを使う最大の利点は、速さでも賢さでもなく、相手が飽きないことだと思う。
 同じことを3回聞いても、態度が変わらない。言い方を変えて4回目を聞いても、嫌な顔をしない。「さっきも説明しましたよね」と言われない。人に3回同じことを聞くのは、どうしても気が引ける。相手の時間を取っている、という気持ちが働く。AI相手には、それが要らない。
 恥ずかしさというのは、相手が人間だから生まれるものだ。だから、ここは遠慮なく使い倒したほうがいい。
▶そのまま聞く:「フィルタというのが分かりません。何をするものですか。初めての人に説明するつもりで書いてください」。知らないことを知らないと書く。
▶分かるまで言い換えさせる:「まだ分かりません。もっと簡単に」「身近なもので例えて」「私は経理を担当しています。経理の仕事で例えてください」。3回でも4回でも構わない。分かるまで続ける。
▶分かったかを確かめる:「いまの説明を、私の言葉で言い直します。合っているか見てください」と前置きして、自分の言葉で書く。読んで分かった気になっているだけか、本当に分かったのかが、ここではっきりする。
 逆に言えば、分かったつもりで先に進むのが、いちばん危ない。仕組みが分からないまま使った道具は、出てきた答えが正しいかどうかを判断できない。用語で武装したときに起きることと、まったく同じ構造である。
 副次的な効果も期待できる。AI相手に「分からない」と書く習慣がつくと、人相手にも言いやすくなる。会議で「すみません、いまの用語が分かりません」と言えるようになる。それはそれで、だいぶ大きな変化だと思う。

■「平均してどのくらい伸びたのか」に答えたい

 もう1つ、よくある困りごとがある。
 3年分の売上が並んでいる。毎月、上がったり下がったりしている。これを一言で言いたい。「平均して、月にどのくらい伸びているのか」。会議で聞かれるのは、たいていこれである。
 前月比の一覧はもう出ている。あとは平均するだけだ、と思ったところに、罠がある。多くの実務書でも間違えているものだ。
 ある商品の売上が、前月比+50%、翌月−50%だったとする。平均すると0%、つまり横ばい─そう考えたなら、間違っている。
 100→150→75。実際の売上は、25%減っているのだ。
 なぜこうなるか。+50%は「1.5 倍」、−50%は「0.5 倍」である。掛け算で積み上がる数字を、足し算の平均で扱ったのが原因だ。
 1.5と0.5を足して2で割れば1.0、つまり横ばいに見える。しかし実際には1.5と0.5を掛けて0.75。3か月で0.75倍になったのだから、1か月あたりは0.75の平方根で約0.866。毎月13.4%ずつ減っていた、というのが正しい答えになる。
 この「掛けて、個数分の根をとる」やり方を、幾何平均という。

■GEOMEANという関数

 幾何平均は、手で計算する必要はない。Excelにも、Googleスプレッドシートにも、GEOMEANという関数がある。
 書き方は、平均を出すAVERAGEとまったく同じだ。
 =GEOMEAN(範囲)
 つまずくのは関数ではなく、入れる数字のほうである。ここだけ注意したい。
 入れるのは「+50%」「−50%」という伸び率ではない。「1.5」「0.5」という倍率だ。横ばいなら1.0、2割増なら1.2、1割減なら0.9。
 そして出てくる答えも倍率である。0.866と出たら、1を引いて−13.4%と読み替える。
 この読み替えを忘れると、桁が狂う。逆に言えば、ここさえ押さえれば難しいことは何もない。

月売上前月比(%)前月比(倍率)
4月100万円——
5月150万円+50%1.50
6月75万円−50%0.50
単純平均=AVERAGE(1.50,0.50)→1.00横ばい(誤り)
幾何平均=GEOMEAN(1.50,0.50)→0.866毎月13.4% 減(正しい)
【表3】足して割るとどうなるか

 この誤りには、方向がある。単純平均は幾何平均より大きく出る。つまり伸び率の平均を足して割っている会社は、変動がある限り、自社の成長を過大評価している可能性が高い。3 年分の月次データで平均成長率を出し、それを来期の予測に使えば、誤差は複利で膨らんでいく。
 では、AIに聞けば教えてくれるのか。教えてくれることもある。ただし、指摘しない場合もある。そして、どちらになるかは事前に分からない。前回書いたとおり、確率で言葉を選ぶ以上、同じ問いに毎回同じ答えが返る保証はないからだ。
 だから、AIが気づいてくれることを期待しない。こちらから問う。判断をAIの当たり外れに預けないこと。これが数字を扱うときの基本姿勢になる。
▶明示的に聞く:「この平均は、単純平均でいいのか、幾何平均を使うべきか。理由も教えてください」。伸び率、利回り、為替の変動率——掛け算で積み上がる数字を扱うときは、毎回これを添える。
▶中央値も出す:1 人あたり単価の平均、店舗あたり売上の平均。大口が1 件混じるだけで、平均は実感と大きくずれる。「平均と一緒に中央値も出して」と頼めば、ずれの大きさが見える。

■実際に組み立ててみる─AIへの頼み方

 道具と関数が分かったところで、実際の手順を追ってみたい。毎月の売上集計をAIと組み立てる場合である。

STEP1
何を出したいかを、先に書く

 いきなりデータを貼らない。まず、ほしい表の形を日本語で書く。「商品カテゴリー別に、月次の売上、前年同月比、営業日数を並べた表がほしい」。ゴールを先に示すと、AIは逆算して手順を提案してくる。

STEP2
データの形を伝える

 実データを渡す前に、列の構成だけを伝える。「A列が日付、B列が商品コード、C列が数量、D列が税抜単価、E列が税率。1行1明細で、月に約3,000行」。この時点で中身はいらない。

STEP3
定義を全部渡す

 ここが要である。前段で見た「黙って決められる」ものを、先に潰しておく。
 「売上は税抜で集計します。返品には元伝票番号が付いており、元の売上月に戻します。締め日は月末で、翌月1日以降の伝票は翌月扱いです」。3行書くだけで、事故の大半は防げる。

STEP4
式を書かせて、自分で貼る

 「この条件で集計するピボットテーブルの作り方と、前年同月比を出す数式を教えてください」。返ってきた手順を自分で実行する。データそのものを渡す必要はないので、情報の扱いも軽くなる。

STEP5
検算する

 できた表の合計と、元データ全体の合計を突き合わせる。一致しなければ、どこかで条件が抜けている。ここまでやって、ようやく数字が信用できる。
 一度組めば、翌月からはデータを差し替えるだけだ。前回書いた「うまくいった指示文を貯める」が、そのまま効いてくる場面である。

■入れる式を見てみる

 では、実際のシートに何を入れるのか。
 元データは、こういう形の明細とする。1行が1 件だ。A列に日付、B列に商品コード、C列に数量、D列に税抜単価、E列に税率。2行目から下にデータが並んでいる。
 このままでも集計できるが、初心者が扱いやすい形にするため、ここでは列を足す。理由が2つある。
 1つは、売上金額の列がないことだ。あるのは数量と単価だけで、掛け算した結果がどこにも入っていない。
 もう1つは、日付が「2026/4/15」のような1日単位であること。月ごとにまとめたいのに、まとめるための目印がない。
 だから、足りない列を先に作る。ここで初めて数式が出てくる。

列内容入れる式
F税抜売上= C2*D2
G税込売上= ROUNDDOWN(F2*(1+E2),0)
H集計月= TEXT(A2,”yyyy/mm”)
【表4】明細に足す列と、入れる式(2行目の例)

 G列のROUNDDOWNは、1円未満を切り捨てる指定である。端数処理は決めておかないと集計額が変わるので、切り捨てか切り上げかを先に決める。切り上げならROUNDUP、四捨五入なら ROUND に変えるだけだ。
 H 列は、日付から「2026/04」という文字を作っている。”yyyy/mm”は4桁の年と2桁の月を示す。これがあると、月ごとの集計ができるようになる。
 あとは、この3 列を足した明細をピボットテーブルにかければ、商品別×月別の表ができる。ここまでは数式が3つだけだ。
 前年同月比を出すなら、できた集計表の横に列を足す。

内容入れる式補足
前年同月比(倍率)= B2/C2B2が今年、C2が前年の売上
前年同月比(%)= B2/C2-1セルの表示形式をパーセントに
営業日数あたり= B2/D2D2に営業日数。曜日構成の差を消す
平均成長率= GEOMEAN(E2:E13)E列に毎月の倍率が並んでいる場合
【表5】集計表に足す列と、入れる式

 平均成長率の行だけ、少し説明がいる。E列には、各月の前月比を倍率で入れておく。12か月分なら直前月を含む13個。それを GEOMEANでまとめると、その期間の平均的な月次成長率が倍率で出る。1を引いて%に直す。
 式は、これで全部である。覚えるのはROUNDDOWN、TEXT、GEOMEANの3つと、ピボットテーブル。ここから先は、AIに聞けば書いてくれる。
▶式の意味を説明させる:「=ROUNDDOWN(F2*(1+E2),0)という式が何をしているのか、初めての人に分かるように説明してください」。AIが書いた式をそのまま貼る前に、これを一度やる。意味が分かっていない式は、間違っていても気づけない。
▶エラーごと貼る:式がうまく動かないときは、エラーメッセージをそのまま貼り付けて聞く。「#VALUE! と出ます。原因と直し方を教えてください」。原因の特定は、AIが最も得意な作業のひとつだ。

■定義を、シートの端に書いておく

 式が組めたら、最後にもう1つやっておきたいことがある。シートの空いている場所に、決めたことを書いておくのだ。
 売上は税抜。返品はマイナス行で、元の売上と同じ月に戻す。締め日は月末で、翌月1日以降の伝票は翌月扱い。端数は1円未満切り捨て。
 数行でいい。だが、この数行があるかないかで、半年後がまるで違ってくる。
 AIは黙って前提を置く、と書いた。同じことが、人にも起きる。担当者が代われば、締め日の扱いは変わる。本人は変えたつもりもない。書いていなかったから、そう解釈しただけだ。
 そして、この数行はAIに渡す指示文にもなる。「以下の定義で集計してください」と貼り付ければいい。人のためのメモと、AIへの指示が、同じものになる。
▶定義を書かせる:「この集計で、決めておくべき定義を一覧にしてください」。すると自分で思いつかないものが出てくるはずだ。出てきた一覧から、自社に関係するものを選んでシートに書く。

■グラフは、何のために作るのか

 集計のあと、グラフを頼む人は多い。ここにも注意が1つある。
 「売上の伸びが分かるグラフを作って」と頼むと、AIは伸びて見えるグラフを作る。縦軸の起点をゼロにせず、変動の大きい区間だけを切り取る。嘘はついていない。依頼どおり「伸びが分かる」ようにしただけだ。
 社内の検討用ならまだしも、取引先や金融機関に出せば、意図せず誇張した資料になる。
▶軸を指定する:「縦軸はゼロ起点、期間は36か月すべて」と条件を付ける。何を見せたいかではなく、どう作るかを指定する。
▶逆も作らせる:「同じデータで、伸びていないように見えるグラフも作って」。2枚並べると、グラフがいかに印象を操作できるかが分かる。自社の資料を疑う目が育つ。

■3年分のデータは、思ったより少ない

 さてここから予測の話をしよう。まず、手元にあるデータがどれだけのものかを見ておく必要がある。
 月次3年分は、36点しかない。もし季節性を見るとしたら、各月のデータは3点だけである。とすると3月が高いのが季節要因なのか、たまたま大口が3 回入ったのかを、3点で区別するのは無理が出てくる。
 さらに、この3年に何が起きたか。直近ではコロナ後の反動、値上げ、あるいは新商品の投入、主力取引先の変更などなど。それぞれが構造変化で、統計的には「同じ性質のデータ」として扱えない。3年分といっても、途中で別の会社になっている場合がある。
 AIは、この事情を知らない。36点を渡せば、36点なりの分析を返してくる。「このデータ量では季節性の判断は難しい」とは言わない。AIは知らないと言えないし、自発的に「このデータ量では足りない」と必ず警告してくれるとは限らない。
 では3年分のデータは無意味かというと、そうではない。傾向を見るには十分である。使いどころを間違えなければいい。「昨年より3月の落ち込みが小さい」は言えるが、「3月は構造的に弱い月である」とまでは言えない。
 この区別は、AIに頼んでも出てこない。頼めば、どちらも同じ調子の文章で書いてくる。

■業界平均を、自社に掛けてはいけない

 予測でもう1つ多いのが、業界の伸び率を自社に当てはめる方法である。
 最初の注意は、業界平均の数字そのものをAIに聞かないこと。もっともらしい数字は返ってくるが、根拠がないか、古いか、出典が実在しない。経済産業省の商業動態統計、業界団体の統計、日銀短観など、出どころを自分で押さえることが肝要だ。AIに出典を求めることもできる。大事なのは出典の羅列で安心しないこと。必ずそのサイトで実数を確認すること。
 そのうえで、平均を自社にあてはめないことだ。業界が5%伸びるから自社も来期5% 伸びるという推論は、シェアが変わらないことを前提にしている。その前提は、たいてい成り立たない。むしろ業界全体が伸びる局面でこそ、伸びる企業と取り残される企業の差は開く。
 では予測に何を使うのか。AIに出させるのは、予測そのものではない。予測の作り方と、その予測が外れるとしたらどこか、である。
▶前提を5つ挙げさせる:「この予測が前提にしている条件を5つ挙げてください」。数字をもらうより、はるかに役に立つ。前提が並べば、どれが危ういかは自社を知る人間に判断できる。

■慣れてきた人の落とし穴─用語を使えば伝わるという誤解

 このコラムは初めて使う人に向けて書いている。読んでいる人の中には、十分使いこなしている、という人もいるだろう。ただある程度使えるようになった人というのが危なかったりする。
 慣れてくると、指示が洗練されていく。専門用語を使うようになるからだ。上級者を自認する人は経営やマーケティング用語に長けている人も多い。
 カバレッジ、回帰分析、PER。こうした語を並べて依頼すると、返ってくる文書の格が明らかに上がる。自分の指示が効いた、と感じる瞬間だろう。
 ところが、ここに落とし穴がある。
 第1に、用語で指示した人は、返ってきた答えを検算できない。カバレッジは業界によって指すものが違う。回帰分析は、統計を学んだ人でなければ前提条件まで把握していない。PERは、どの期の、どの利益を使うかで数字が変わる。自分が完全には理解していない言語で質問したのだから、答えの妥当性を判定できないのは当然である。
 第2に、用語を使うとAIは「この人は分かっている」と判断し、前提の説明を省く。本来なら添えられたはずの但し書きが消えてしまうのだ。
 つまり専門用語は、精度を上げるのではなく、検証を難しくしている。
 厄介なのは、この構図が自分では見えないことである。用語を使う前より、使ったあとのほうが、成果物の見栄えは確実に良くなる。だから「うまくいった」と感じる。実際に上がったのは見栄えだけで、中身の確からしさは変わっていないか、むしろ下がっているのに。
 部下に指示を出す立場の人は、とくに気をつけたい。用語を使った指示は、受け取った側も検算できない。曖昧さが、そのまま下流に流れていく。
▶分からないと書く:用語で武装せず、分からないことをそのまま書く。「3年分の月次売上から平均的な成長率を出したい。ただし、伸び率の平均を単純に足して割っていいのか分からない」。こう書けば、なぜその方法ではいけないのかから説明が返ってくる。
▶方法を教わる:結果ではなく方法を聞く。「この指標は何を測るもので、どんなときに使い、どんな落とし穴があるか」。理解してから式を教わり、計算は自分でやる。遠回りに見えて、次からは自分でできる。

■どこに人を置くか

 では、人間はどこまでAIに任せればいいのか。工程ごとに担当を割り振ると、こうなる。

工程担当補足
数字を表に入れる人最も事故が多い。確認を省かない
集計・幾何平均・季節指数表計算ソフト計算は機械の仕事
計算方法の設計、式を書くAI方法を教わり、理解してから使う
業界統計の出典特定人AI に数字を聞かない
増減の仮説出しAI最も価値が出る工程
来期の数字を決める人責任は移譲できない
【表6】数字の仕事の担当割り

 両端に人を置き、真ん中を機械に任せる。この形にすれば、日報の集計も前年比の分析も、まったく怪しくない。怪しくなるのは、両端まで任せたときである。
 このコラムの冒頭で示した疑問、「なぜ『データの集計・分析』の利用は7.4%にとどまっているのか」について改めて問いたい。
 おそらく、やってみて信用できなかったからだ。そして信用できなかった理由は、AIが不正確だからではない。出てくるものが十分に良いからである。読みやすく、形式が整い、自信に満ちている。人間の部下なら、迷えば「ここ、どうしましょう」と聞いてくる。AIは迷いを見せない。分からないところも埋めて返してくる。
 確信度が表示されない—これが、数字の仕事で確認が難しい本当の理由である。だから、確認を注意力に頼らず、手順に変える。前提を吐かせ、検算を1つ仕込み、定義を先に決める。
 手間に見えるかもしれない。しかし、これまで誰も決めていなかった定義を決める作業でもある。税抜か税込か。締め日をまたいだ伝票をどちらに入れるか。その取り決めが曖昧なまま回っていた会社ほど、AIを入れた瞬間に破綻する。逆に言えば、そこが見えるだけでも、導入の価値はあるのだ。

■覚えるのは、3つの関数とひとつの道具

 長くなったので、まとめてみる。
 覚えるのは、ROUNDDOWN、TEXT、GEOMEANの3つの関数と、ピボットテーブルという道具。それだけである。あとはAIが書いてくれる。ただし、書いてもらった式が何をしているのかは、自分で説明できるようにしておく。意味が分かっていない式は、間違っていても気づけないからだ。
 そして、定義はシートの端に4 行書いておく。税抜か税込か。返品はどの月に戻すか。締め日はいつか。端数はどう処理するか。この4 行が、人への引き継ぎにも、AIへの指示にもなる。
 冒頭で、ふだんの仕事を書き出して分解しようと書いた。後半でやったのも、結局は同じことである。曖昧なまま回っていたものを、言葉と式にする。それだけで、数字は信用できるようになる。

 次回は、この裏面を扱う。数字では事故のもとだった「それらしいものを作る」機能が、武器になる領域—クリエイティブである。

参考
【書籍類】●『「最高の発想」を一瞬で生み出す6つの技法 AIを使って考える』石井力重・著/ 加藤昌治・監修[ダイヤモンド社]●「生成AIタスク爆速大全」 宮崎学[かんき出版]●「東京大学社会人向け人気講座 AI経営講座」東京大学松尾・岩澤研究室 PwCJapanグループ[集英社インターナショナル] ほか
【WEB】●帝国データバンク「生成AI に関する企業の動向調査」(2026年5月公表)●国税庁「インボイス制度に関するQ&A」●経済産業省「商業動態統計調査」●日本銀行「全国企業短期経済観測調査」 ほか

POINT
■始まりは統計の勉強ではなく、ふだんの仕事を書き出して分解すること。AIに指示を出すには、自分が何をやっているかを説明できなければならない
■AIは「なぜやるんですか」と聞かない。目的の分からない作業を、忠実に、速くしてくれる
■分解の5つ目「出さなかったら誰が困るか」に答えられない作業は、AI化の前にやめられないかを考える
■5W1Hは説明の枠、5つの問いは分解の枠。借りるならHOW MUCH—金額ではなく工数。どこから手をつけるかが決まる
■フォーマットは埋まると安心する。日報の「目的」欄が毎月同じ文言なら、それは空欄と変わらない
■測る道具を持たずに回数だけ重ねると、上がるのは精度ではなく、それらしさである
■AIが自分で数えるときは信用できない。AIが式を書き、機械が計算するなら正確。同じ質問を2回して数字が変われば、それは推測
■道具は困りごとの形をしている。「面倒だ」と感じた瞬間が、道具を探すタイミング。道具の名前は知らなくていい
■AIの最大の利点は、相手が飽きないこと。同じことを3回聞いても態度が変わらない。恥ずかしさは相手が人間だから生まれる
■分からない言葉が出てきたら、その場で聞く。「もっと簡単に」「身近なもので例えて」と、分かるまで言い換えさせる
■分かったつもりで先に進むのが、いちばん危ない。仕組みが分からない道具は、出た答えが正しいか判断できない
■ピボットテーブルは明細を集計表に組み替える機能。数式が苦手な人ほど、関数より先にこれを覚える
■伸び率の平均を足して割ってはいけない。+50%と−50%の平均は0%ではなく、13.4%減。関数はGEOMEAN
■GEOMEANに入れるのは伸び率ではなく倍率。1.5、0.5、横ばいは1.0。出てくる答えも倍率なので1を引く
■覚えるのはROUNDDOWN、TEXT、GEOMEANの3つとピボットテーブル。あとはAIが書いてくれる
■AIが書いた式は、貼る前に「何をしている式か説明して」と聞く。意味が分かっていない式は、間違っていても気づけない
■定義はシートの端に4行書く。税抜か税込か、返品はどの月か、締め日、端数処理。人への引き継ぎにもAIへの指示にもなる
■集計で危ないのは転記と、比較の定義。指定しなければAIは黙って決め、決めたことを報告しない
■AIに出させるのは予測ではなく、予測の作り方と、外れるとしたらどこか

ビジネスシンカーとは:日常生活の中で、ふと入ってきて耳や頭から離れなくなった言葉や現象、ずっと抱いてきた疑問などについて、50種以上のメディアに関わってきたライターが、多角的視点で解き明かすビジネスコラム

TOP

JOIN US! 私たちの想いに共感し、一緒に働いてくれる仲間を募集しています!

CONTACT お問い合わせ

TOP