COLUMN ビジネスシンカー

  • SHARE
  • LINE
2018.06

1000年を見据える「千年持続学」から学ぶ 21世紀型資本主義・経営

サステイナブルな取り組みのヒントを与える「千年持続学」

 千年持続学は、2001年に行われた文部科学省の委託調査の報告書をベースにした日本発の未来学である。

 千年持続学では、1000年というスケールを軸にすれば、何単位か有史をさかのぼることで、人々が何を考え、どのように行動してきたかを知ることが可能となるとする。

 日本で1000年前と言えば、まさに源氏物語が誕生した平安時代。
ヨーロッパでは十字軍が遠征を繰り返し、交易圏を広げていた。中国では宋が勢力を弱めていく時代である。

 たとえ産業や暮らし方、文明も違う時代であっても、人が何かの意図をもって自然に働きかけ、現在と同様に喜びや悲しみを感じながら営みを続けていたことは推察できる。こうして人類の来し方をたどる一方で、1000年後に思いを馳せ、社会の持続性をそこまで到達させる方法をさぐる。それが千年持続学である。

 では1000年持続させる上でのポ イントとなるファクターはいったい何なのであろうか。

サステイナブルとエネルギー

 一つはやはりエネルギーである。
代表的化石燃料である石油は、20世紀の物質文明を支えてきた。20世紀は洋の東西南北を問わずまさに石油文明社会であった。

 石油に関しては20世紀後半からその埋蔵量が約40 ~ 50年分で推移 し続けた。このため一部の識者からは、石油は枯渇しないとの意見も上がっている。これは石油の埋蔵試算が現在確認されている埋蔵量ベースでの計算であるため、その後発掘されるとその寿命が延びることが背景にある。また発見された油田でもその100%を回収できるとは限らない。どれだけ採れるかは技術とコストとの兼ね合いにもよる。油田は地下水のように脈々と存在してるわけではなく、時間を経るにしたがって、砂や礫にまじった石油(オイルサンド)から回収することになるため、コストや技術が見合わなくなれば廃田とする。したがって廃田にはまだ石油を含んだオイルサンドが残っており、その埋蔵率は7割という説もある。

 だが1000年というスケールを想定した場合、石油がまったく枯渇しないまでも、現在のように手軽に利用できるものではなくなる。何より各国の産業成長エンジンである石油は、たやすく投機マネーの対象になりうるのであり、これをエネルギーや産業の頼みとすることは、常に経営の根幹を揺るがし続ける。

 一方生産量が増加している天然ガスもその曲線を見る限り、2030年あたりにピークを迎え、2100年にはその生産量はゼロの地平に沈みこむ。

 これに対して石炭は現状300年ほどの埋蔵量がある。ただ石油に比べ採掘コストが高く、また採掘可能量が高くても、有限であることに変わりはない。

 もとよりこうした化石エネルギーを消費すればするほど、温暖化が加速することは自明であり、これら化石エネルギーが消費さることで、大気中の二酸化炭素が現在の2倍から3倍になるとの予測が立っている。

 サステイナブルな社会を実現していくためには、この化石エネルギーから持続可能な再生可能エネルギー源に変えていくことは論をまたないだろう。再生可能エネルギーには、太陽光発電、太陽熱利用、風力発電、バイオマスエネルギー、 地熱発電、地中熱利用、燃料電池、あるいは雪などが挙げられてくる。

 以前はここに原子力を挙げるこ ともあったが、2011年3月12の事故以来、そのコストや安全性が幻想であったことが証明され(一部の原発マネーの恩恵を受ける関係者や知識人は反発しているが)、その選択肢はない。実際3月12日以降、日本のみならず世界中で再生可能エネルギーが急伸し、いまや電力の一次エネルギーは太陽光発電、風力発電それぞれで原子力発電を抜き去っている(2017年<環境エネルギー政策研究所>)。

 また技術進化により従来にはなかった振動や小さな水量、植物の成長に伴う化学変化、工場の排熱、音などを利用した発電も可能になっている。

 現実レベルではコストが最大のネックとして挙がってこようが、普及が進めば、コストが下がるのは経済の常識。従って重要なことは数を現実化させる技術力と仕組みである。

 さまざまな次世代エネルギーが 開発されるのは喜ぶべきことだ。ただあまりに多様化すると、互いのつぶし合いになり、優良な技術や商品が消える可能性もある。そこで技術と技術をブリッジし統合する技術とそれをコーディネートしプロデュースする人材と仕組みが必要となる。すでに太陽熱と電気、あるいは燃料電池と電気のコジェネレーションシステムなどが誕生しているが、さらにまだ未 利用に近い地中熱、木質バイオマスなど柔軟な組み合わせが求められてくる。

  • LINE