COLUMN ビジネスシンカー

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2018.06

1000年を見据える「千年持続学」から学ぶ 21世紀型資本主義・経営

【new comer & 考察】皮ごと食べられる国産バナナの開発で、かつての高級フルーツが再び熱視線


D&Tファームの公式サイトで紹介される「もんげーバナナ

 意外だが日本で最も食べられているのがバナナだ。そのバナナが熱い。
バナナと言えばかつては高級フルーツの代表で、年配者なら病気の時ぐらいしか食べられなかったのではないだろうか。いまやどこのスーパー、コンビニでも見かける日本人に馴染み深い、いわば国民的フルーツと言える存在だ。

 バナナはフィリピン産や台湾産が知られるが、日本輸入されるバナナはフィリピン産とエクアドル産で95%を占め、うちフィリピン産は75%と圧倒的。世界に目を転じるとインドが最も多くバナナを生産し、次が中国、インドネシア、フィリピン、ブラジルの順となる。これらバナナ産地は「バナナベルト」といわれ、赤道から緯度がプラスマイナス30%のゾーンに収まっている。

国内で流通している主な輸入バナナ。
日本バナナ輸入組合公式サイトより)

 いずれも年中温暖で、降雨量が安定して豊富で台風の通り道でないことが条件になる。しかしこの常識を覆る産地が登場した。日本の岡山県だ。

 岡山県にある農業法人D&Tファームが国産初のバナナ「もんげーバナナ」を開発した。もんげーとは、岡山県の方言で「すごい」という意味だ。確かに熱帯、亜熱帯産の高級フルーツであったバナナが日本国内でつくれるとなれば、「もんげー」である。

 なにより、もんげーバナナは一般的バナナと違い、皮ごと食べられるのが特長。さらに一般的なバナナの糖度が13〜18度であるのに対して、もんげーバナナは25〜27度とかなり甘い。食感もクリーミーで、豊かな香りがある。ほかのバナナに比べても特長が際立っている。

 なぜ岡山でバナナかというと、単にD&Tファームの創業者の田中節三さんの執念というしかない。田中さんは高級フルーツの代表であったバナナを「なんとかお腹いっぱい食べたい」との思いから、自宅の庭で栽培と品種改良の研究を40年間続けて、実現した。

 田中さんが「お腹いっぱい食べたい」と思ったバナナは「グロスミッシェル」とう品種で、もんげーバナナもこの品種に属している。現在スーパーでよく目にしているのは「ジャイアントキャビンディッシュ」という種類で、世界的にも輸出バナナの主流となっている。田中さんの憧れたグロスミッシェルは実は1950〜60年代に中米を中心に広がったパナマ病で打撃を受けて、市場から姿を決した経緯がある。

 往年の甘いバナナの味を覚えていた年配の人にとっては、まさに憧れの味、バナナ通では幻の味を再現・具現化してくれた 恩人とも言えるだろう。

 現在、もんげーバナナは、一部の高級フルーツ店や百貨店などで扱われているが、まだ販売量が少ない。そのため、生産地の拡大にも取り組んでおり、現在岡山県内のほか広島、鹿児島で生産が開始、それぞれ「神バナナ」「ともいきバナナ」として販売されている。またこれらの県のほか、福岡、大分、熊本、宮崎などの九州各県、兵庫、三重、千葉などのほか青森、北海道でも生産準備が進められている。

岡山県の天満屋のネットショップで販売される「もんげーバナナ」

ともいきバナナ公式サイト

ともいきバナナ公式サイト

神バナナ公式サイト

神バナナ公式サイト

 ちなみにバナナの品種は世界で300種ほどあるとされ、日本ではほかに生食ではモンキーバナナとも呼ばれる「セニョリータ」、皮が赤紫でさつまいもにも似た「モラード」といった品種が出回っている。

 また料理用では「サバ」と呼ばれる青緑のバナナ、「ツンドク」と呼ばれる大型なバナナなどがある。

 ドリアンやマンゴーなどフルーツ王を巡る争いが、再び熱くなってきたようだ。

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