BUSINESS THINKER ビジネスシンカー

2018.08

ビッグデータ時代に押さえておきたい 統計データの見方のキホン

日本の食料事情は危機的なのか?

 21世紀で最もセクシーな職業は何か、ご存知だろうか?

「データサイエンティスト」と呼ばれる人たちである。膨大な数字やデータを分析し、必要な情報を取り出し、必要な形にまとめ提供するプロフェッショナルたちのことだ。IoT技術、IT、AIの長足の進化により、その活躍の場はどんどん広がり、アメリカでは最も人気ある職業となっている。日本でもその育成が急務となっている。

今後ビジネスで扱われるデータはますます膨大となり、よりスピーディで的確な分析が求められるようになる。

それも単にデータを分析するのではなく、どのようなデータをどう取り込み、どう読んでいくかがカギを握るとも言われている。すなわちデータの読み方の"思想" が問われるのだ。

 たとえば公的機関や新聞などの調査から集まった統計データ。そこから導き出された理屈や定説は、正しい、もしくは妥当と思われがちですが、そうではないことも多い。

 その1つの例として食料自給率がある。

 農水省のデータによると日本の食料自給率は、カロリーベースでおよそ38%、生産額ベースでは約68%(2016年度)となっている。かなり低い数字だ。

 国は2015年に当面カロリーベースで45%の自給率を目指しているが、欧米と比べるとまだまだ低い。

 年によっても違うが、広大な敷地をもつオーストラリアがだいたい200%~ 300%、同様に広い国土を持つカナダが140 ~ 180%と優に100%を超えているほか、フランスがだいたい120 ~ 140 %、アメリカが120 ~ 150% と100% 超。100%を超えない国でもドイツが80 ~ 100%、スペインが90 ~100%、イギリス、イタリアが70~ 80%前後を行き来している。こと先進国を見る限り、日本は危険水域だとも言える。

 この計算式はどうなっているのだろう。たとえばカロリーベースの計算は図Aのとおり。

 式が意味するのは、1日に国内で供給されるカロリーのうち国産分のカロリーという意味だ。
 ここで注意したいのは、供給カロリー=摂取カロリーとならないことだ。食料ジャーナリストの浅川芳裕さんによれば、「食料として提供されているのにもかかわらず、摂取されない分も含まれている」(『日本は世界5位の農業大国』)ということだ。