COLUMN ビジネスシンカー

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2018.08

ビッグデータ時代に押さえておきたい 統計データの見方のキホン

アメリカはベンチャー大国ではない!

 神永さんの本にはこんな事例が載っている。

 よくアメリカとの比較論で、日本はアメリカに比べてベンチャー企業が少ない。アメリカは、リスクをとって起業する若者が多いが、日本の若者は少ないということが語られることが多いようだが、神永さんはこれに疑問符を投じる。

 ケース・ウエスタン・リザーブ大学のスコット・シェーンという教授の著書によれば、OECD諸国のなかで自営業率が最も高いのはトルコで30%。アメリカは7.2%と下から2番目だったという。これは日本の10.8%より低く、その率は90年代より低下していると言う。

その理由はトルコが農業比率の高い国だからだ。農業比率が高いと企業雇用者比率が低くなるのだ。ほかにもこの本からアメリカ=ベンチャー大国のイメージを覆すような事実がいくつも出てきている。例えば...

1)起業はたいてい1人で行われる(76%が一人で起業)
2) ベンチャーキャピタルから起業時に融資を受けているケースはほとんどない(0.3%)
3)若いビジネスオーナーは少ない(18 ~ 34才は9%)。最も多いのは45 ~ 64才で53%。
4)たいていは革新的とは言えないビジネスをやっている(他社が提供していないサービスや製品を提供しているのは10%)
5)学歴は高い方が有利。ただし、博士号を取るまではやりすぎである

...といった内容だ。

神永さんの解説によれば、シェーン教授がやったことは、各国のデータをきちんと見たこと、だ。専門家らしい込み入った分析もあるが、単にきちんとしたデータを比較するだけでも物事の実態は違って見えてくる。

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