COLUMN ビジネスシンカー

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2023.12

【newcomer&考察】
物事を動かし、変えるのはファーストペンギンか?
いや大事なのは、セカンドペンギンだ!

 ファーストペンギンという言葉を聞いて、「それ何?」という人は余りいなくなったと思う。
 ビジネスにおいて未開拓の市場やより大きな売上の獲得をめざし、リスクをとって率先して挑戦する人間の比喩である。
 なぜそれがペンギンかについては、念のために説明しておく。
 ペンギンの餌は魚やイカ、そしてオキアミなどの甲殻類である。魚は陸地や流氷の上にはいないので、海に飛び込んで探すしかない。海には餌だけでなく、敵もいる。ヒョウアザラシやシャチなどだ。食べられる危険もあるが背に腹は代えられないので、お腹が空いたらペンギンは海に飛び込むしかない。この動向をヒョウアザラシは知っていて、海中で待ち構えることが多い。
 ヒョウアザラシはアザラシ類のなかで最も獰猛で、ペンギンのほか他のアザラシも捕食する。人を襲うこともある。だが陸上や氷上で寝そべっているときは、獰猛さのそぶりもみせない。ペンギンが近づいても気に留めず、ただゴロゴロするだけだ。
 つまり陸上でゴロゴロしながらペンギン集団の動向を探り、ペンギンが海に向けて移動しはじめるとそっと海中に潜り、飛び込んでくるペンギンを海の深部からじっと待つのである。
 よって海に飛び込んだペンギンが捕食される率はかなり高い。逆にペンギンが主食とするオキアミは、サイズは小さいものの密集した群れを成しており、先に餌場に飛び込んだほうが餌にありつけやすくなる。ハイリスクハイリターンの典型だと言える。

ファーストペンギンがいても事業は進まない?!

こうした行動特性に倣って、ビジネスでリスクをとって最初に事業や、市場に挑戦する者をファーストペンギンと呼び称えるようになったのが、ちょっと前までの風潮だ。“ちょっと前”と言ったのは、ファーストペンギンの行動と勇気を称えるものの、その先の展開が意外と進まないという例が見受けられてきたから。
 新規事業の成功や新市場の獲得には、事業を動かす複数のフォロワーが要る。フォロワーはファーストペンギンが目指す方向性や考え方に共鳴し、協働、支援する。このフォロワーが多ければ多いほど、事業の成功率、新市場の獲得率は高まる。
 問題はこのフォロワーをどう増やすか、である。

すごい、いいね! 
でもあの人だからできるんじゃね??

 そこで注目されているのが、セカンドペンギンという存在だ。文字通り、ファーストペンギンに続く2番めのペンギンたちである。
 規模の大小を問わず、組織やチームが何かを立ち上げ、実行していくためには、「それいいね!」と言ってくれる存在が必要だ。できれば「いいね、やろうよ」と実行に手を貸してくれる人がいたほうが進みやすい。
 いくらいい企画を練り上げ、巧みなプレゼンをして、拳を振り上げ、鼓舞しても「さすが。でもあの人だからできるのであって、私にはできない」という空気が出てしまっては、事業は進まない。ましてイノベーションを起こそう、そのための改革をしようという場合は、フォロワーより抵抗勢力が生まれる可能性もある。
 そういったときに「いいかもしれない。結果がどうあれやってみたら面白そう」というファーストペンギンに寄り添うセカンドペンギンが生まれることで、事態は好転する可能性が高い。

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