COLUMN ビジネスシンカー

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2018.11

AI 時代を生き残るためにへ なぜ世界のビジネスエリートはアートセンスを鍛えるのか

【newcomer&考察】カフェ付きは常識!?おしゃれ&機能的で伸び続けるコインランドリー

 

コインランドリーが伸びている。 

洗濯機が全自動化され、乾燥機までついて脱臭までできる時代に、「なぜ?」という思いも強いだろう。

 コインランドリーの数はいまや全国で1万8000店舗。コンビニ大手のファミリーマート並の数だ。背景には、クリーニング要らずの衣料の増加と、女性の社会進出による共働き世帯の増加、社会の高齢化に伴う単身世帯の増加、さらには人手不足という背景がある。

 とは言え、どんどん清潔さに過敏になっている現代人が知らない他人が洗った洗濯槽で自分の衣類を洗うことに抵抗感はないのだろうか。そこには現代のコインランドリーならではの工夫がある。

 コインランドリーは、クリーニングに比べ安い。だいたい数百円〜1000円もあれば、2、3人分の洗濯を終えることができる。時間も1時間から2時間もあれば、乾燥までできてしまう。またその乾燥機も強力なため、それだけを目当てに利用する客も多いようだ。

 ただやっかいなのは、どうやってそこまで洗濯ものを持っていくか、という手間の部分と、洗濯が終わるまでの時間をどう過ごすかである。

 「WASH&FOLD」を運営するアピッシュは、その2つのテーマを解決した今どきのコインランドリーの代表だ。

 洗濯物を専用のバッグに詰め込んでネットから注文すると宅配便が引き取にやってくる。その後は店舗側がコインランドリーを使って洗濯、乾燥を行い、畳んで送り返す。とくに丁寧に畳むのがWASH & FOLDのウリのようで、サイトには店員が丁寧に手で畳む様子が掲載されている。もちろん持ち込みも可だ。価格にも工夫が見られる。クリーニング店ではたとえばシャツ1枚、スカート1着など1着、1枚単位で料金がかかり、またその素材でも料金が変わる。WASH & FOLDでは専用バッグ詰め放題で一律料金としている。バッグは2種類で、レギュラーとスモールがある。前者の場合が約6〜8kg(シャツ60枚目安となる)で、3000円。持ち込みなら2200円となる。スモールサイズだと2300円。持ち込みは1500円だ。

 ほかに店舗によって衣類や鞄の修繕サービス、一般的なドライクリーニングも行う。

 シックでおしゃれな店内ではカフェ感覚でゆったり過ごせるが、「WASH & FOLD葉山」店では地元の老舗ベーカリーと代官山のジューススタンドとのコラボを実現。まさにカフェとコインランドリーが一体化、コインランドリーでの悩みの1つだった、「時間をどう過ごすか」が解決されている。

 カフェと一体化というのは最近のコインランドリーの定番のようで、たとえば東京三鷹市にある「BALUKO LAUNDRY PLACE(バルコランドリープレイス)三鷹」は、店内にカフェが併設。スタッフが注文カウンター越しに注文に応じる。ドリンクだけでなくベーグルやホットドッグなどの軽食も扱っているので、洗濯がなくても十分過ごせる空間になっている。

 関西を中心にコインランドリーを展開している「ノムラクリーニング」もカフェ&ランドリー店舗の新ブランド「ニノーバルウォッシュカフェ」立ち上げ、広げている。コーヒーなどの飲み物だけでなくパンケーキやサンドウィッチフラペチーノなど、メニューも本格的。カフェにランドリーが併設されている感覚だ。

 ドイツからやってきた「フレディ レック・ウォッシュサロン」は、ウォッシュサロンの命名の通り、カフェサロンの色がかなり強い。スタイリッシュなランドリールームに隣接したカフェでは、コーヒーなどのドリンクやマフィンのほか、洗濯洗剤や日用品などのグッズも販売。さらに定期的にトークショーや映画鑑賞会、ワークショップなども開催する交流空間となっている。

 創業者のフレディ レック氏は、もともと演劇人。「ランドリーを単に洗濯をする場にしたくなかった。人が集うコミュニティにしたかった」という思いが形となった。

 熱帯魚が泳ぐ大型水槽を店内に設置したコインランドリーも出現した。今春東京江戸川区にオープンした「アクアリウム・ランドリー」では、洗濯の待ち時間を癒しの時間に、という新感覚のランドリー空間を提供。24時間営業の同店には、レンタル収納スペースや宅配便ロッカーも併設されており、いつでも洗濯のついでに利用できると好評だ。

 一方、昨年2号店をオープンさせた東京新宿区の「Araeru(アラエル)」は、国内初の定額会員制ランドリー。入り口で会員カードをかざさないと入店できない仕組みで、夜間に利用する女性客を呼び込んでいる。

 ペット人口の増加を見込んで、ペットを洗って乾かす専用コーナーを設けているのは、東京・渋谷区にある「クリーンプラザ ルーシー」。プロ仕様のシャワーやドライヤーを完備したセルフシステムの施設の他に、ペットの洋服や敷物なども洗濯できるペット専用のコインランドリースペースもある。

 増え続けるコインランドリー市場をけん引するのは、業界初の上場を果たした宮崎発の「WASHハウス」と、IoTを駆使した運営の横浜発の「マンマチャオ」、接客をウリにする東京町田発祥の「コインランドリーデポ」、さらに銀を使った抗菌洗濯で成長中の京都発の「ホワイトピア・さわやかピュア」。いずれもフランチャイズで勢力を拡大し、激しい出店競争を繰り広げている。

 比較的少ない資金で開業できるコインランドリーは、近年、運営のスマート化に伴い、オーナー負担が大幅に削減。利回りの良い投資先として、マンション投資からシフトする個人投資家も増えている。異業種の食指も動かしている。その一つが「ファミリーマート」だ。コインランドリーを集客装置と捉え、コンビニへの"ついで買い"を見込んで、駐車場のある店舗を中心に、コインランドリー併設店舗を19年度末までに500店とする計画を発表している。

 実際投資先としても申し分なく、大手のWASHハウスでは周辺人口や収入など徹底した市場調査を徹底、過去15年で閉じた店舗は1つもないという。またマンマチャオは近隣のスーパーの客の入りなど現地調査を重ね、売上不振で閉店したのは過去17年間で10店以下という。

 進化し、おしゃれになっていくコインランドリー。その市場規模はまだまだあるとされ、全国で6万店舗まで伸びる可能性があると言われている。

 いずれは、コンビニ併設、書店併設、ドラッグストア併設が当たり前になる日も近いのかもしれない。

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