COLUMN ビジネスシンカー

2018.11

AI 時代を生き残るためにへ なぜ世界のビジネスエリートはアートセンスを鍛えるのか

受験エリートが目指すのは、明快な階層性がある企業で、早く結果を出すこと

 岩盤規制を壊し、新しい市場を作り出すと言ってスタートアップ企業やベンチャーが違法すれすれの事業やビジネスモデルを展開し、喝采を浴びることがよくある。しかし旧ライブドアの失敗やディー・エヌ・エーがキュレーションサイトで裏付けのない医療情報を発信して非難を浴びたように、法整備が追いつかない時代だからこそ、自らを律する企業としての高い美意識が求められている。

 実際昨今企業ぐるみの不祥事が続いている。それも名門と言われる大企業ばかり。これら大企業と言われる人たちは、いわゆる受験エリートの人間が多いわけだが、山口さんはこうした企業人の特徴には、明快な階層性があるという。つまり「何ができれば階層を上がれるか、どうすれば上がれるか」が明快だということだ。そしてそこに求められる価値は、見識や人望ではなく、「早く結果を出すこと」にあり、この傾向は名門企業だけでなく、新興ベンチャーにも当てはまる。

 山口さんは、現在勤めているコンサルティング会社が、世界中の優れた企業にあたって調べた「コンピテンシー」という項目に関して、一番重要との回答が「誠実性」という項目だったと語っている。すなわちこうした優れた企業で類まれな業績をあげた人には、誠実性というコンピテンシーが高い水準で実現されているのだ。ただし、その誠実性は企業側に対する誠実性ではない。「外部から与えられたルールや規則ではなく、自分の中にある基準に照らして難しい判断をしている」というものだ。

 不祥事などで問題となる企業が、問題の背景を説明するときに、「周りもやっていたので気がつかなかった」「何年も申し送りになっていて当然だと思っていた」といった弁明を耳にするが、そういった誠実性の美学を持つ人がいなかったことが大きな問題だと思われる。