COLUMN ビジネスシンカー

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2018.11

AI 時代を生き残るためにへ なぜ世界のビジネスエリートはアートセンスを鍛えるのか

美学的意識を高める効果がある Visual Thinking

 それでは美学的意識を高めるために現代の企業人は具体的にどのように学んでいるのだろう。

 いくつかあるが、その1つがVisualThinking(VT)もしくはVisual ThinkingStrategy(VTS)と呼ばれる手法だ。絵画などの芸術作品を通じて、ものの見方、芸術作品の捉え方を考えるトレーニングだ。

 VTでは、作者や時代の解説などはほとんどない。目の前にある芸術作品を見て、感じて、言葉にする作業をファシリテーターの誘導に従ってひたすら行う。

 ファシリテーターが問いかけるのは次のようなことだ。
「何が描かれていますか?」
「絵の中に何が起きていて、これから何が起こるのでしょうか?」
「どのような感情や感覚が、自分の中に生まれていますか?」

 最初の「何が描かれていますか?」という質問に対しても、人によって見えているものが違ったり、同じものが違うものに見えている。また問いを重ねていくことで、だんだんと画面のディティールに視点や考えが及ぶようになって、意見が増えていく。

 前出の山口さんによれば、この時題材にする作品選びもポイントになるという。

 最初は日本人に親しみやすい印象派などの作品から入るといいだろうが、絵の中で何が起きていて、これから何が起こるのか、どんな感情が生まれているかなどを探るためには、印象派以前の時代の、より具象的な複数の人が描かれている作品のほうが想像力をかきたてられていいと山口さんは言う。

 このVTは、繰り返し参加することで観察力がついていく。自分が見ているものを見方によっては全く違うものとして見るという力がつく。

 こうした観賞力が身につくと、日常や仕事での観察能力が向上し、さまざまなことに気づきが生まれ、感受性も高まっていく。前出のエール大学の調査結果はその例の1つだ。

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