COLUMN ビジネスシンカー

2018.12

働き方改革の先人たち 「実践・逆張り・非常識」経営 あの会社はなぜ業績を上げたのか

37 年連続
経常利益率35%以上を続ける町工場

 何から何まで常識はずれ、常識とは逆をいく逆張り経営の未来工業だが、ここまでとはいかなくとも、常識とは違うマネジメントを実行して成果を上げている会社はまだまだある。

 東京府中市に本社を置く精密加工機械業の株式会社「エーワン精密」もその1つだ。社員数が100人ほどのいわゆる町工場だが、経常利益率が実に35%以上。これを37年間も続けている驚異の会社だ。

 主力製品は、コレットチャック。加工機械に加工対象となる素材を固定する道具だ。同社の製品は正確で精密で高品位だ。ただ技術力は確かに高いが、他社ができないレベルかというとそうでもない。それでも取引を続ける会社が多いのだ。その強さの源泉は加工のスピードである。7割の注文を当日に発送するという驚異の短納期なのだ。

 この速さをどこで実現しているかというと、注文を受けてから作業に入るまでの時間である。同社は本社で注文を受けて、山梨県にある工場で加工を開始するが、この間が5分もかからない。

 受けた注文書はファックスで工場に届く。そのファックスは工場へのエアシュレーターによって加工の現場に飛ぶ。現場ではこのファックスを受けた担当者が、資材置き場に走り、資材を選ぶのだ。通常だと資材部などを通すが、エーワン精密では担当者が伝票を見て直接資材を選ぶ。

 ネットで瞬時にデータを転送すれば、もっと速いのではという声もありそうだが、同社の創業社で相談役の梅原勝彦さんは、「そう思わない」と言う。

「工場内にパソコンを持ち込んで、モニターの画面を見ながら作業をするというのは、傍目にはスマートに見えても、現場の人間からすると面倒くさく、混乱のもとになる。それよりも注文伝票をファックスで送るというスタイルなら、伝票を現場の作業指示書として使える。これが便利なのです。材料と一緒にそれが回ってくれば、工程で随時それを見て確認できるからです」

 しかし、何でもかんでもアナログがいいとは思わないそうだ。

 取引先の管理はコンピュータで管理されているが、これは同社の取引先が3000社ほどだった時代に導入した。現在1万3000社以上まで取引先が増えたが、IT化を早く進めていたから取引先が増えても対応できているのだと。

 在庫管理は、セブン-イレブンがPOSを入れる前から入れていたという。とにかく早く納品をするために、不要なものを徹底して省いていくのがエーワン流だ。