COLUMN ビジネスシンカー

  • SHARE
  • LINE
2019.03

経営者必読! どん底から再生する経営 生死の淵で守るべきもの。捨てるべきもの

【newcomer&考察】 
 ポテトチップスは箸で食べる!? 飲む??

 ポテチショック—大新聞がまるでスクープのようにこの見出しを付けたのが、2017年のことだった。ポテチショックとは、ポテトチップスの原料であるじゃがいもの主力生産地である北海道に前年秋、大型台風が襲来し、収穫前のじゃがいも畑を直撃。じゃがいもの収穫量が落ち込んだことで、ポテトチップスメーカーが主力商品を相次いで生産中止などに至ったことだ。

 この報道が出てからは、危機感を持った消費者が買いだめに走り、スーパーやコンビニの棚からポテトチップスが消えていった一方、人気ポテトチップス銘柄は投機商品化した。ネットオークションサイトでは一袋100円のポテトチップスが通常の数倍の高値で取引される状況になり、なかにはカルビーの「ピザポテト」などは、なんと1万円の高値がついた。

 ネット民の間では、かつての米騒動になぞらえて「平成の芋騒動」という言葉でも揶揄した。

 これを契機にポテトをめぐってさまざまな動きがこの2、3年起こっている。

 まずは農水省。ポテチショックを二度と起こすまじと、対策をぶち上げた。じゃがいも農家対策予算として30億円を計上している。

 北海道は日本の食料庫とも言えるほど、農産物・水産物の生産量が高い。日本の自給率はカロリーベースで割を切っているが、北海道は2倍。以下は東北地方が続くが、近年この地方の風水害が続き、日本の食料地帯に打撃が続いている。北海道には梅雨や台風が来ないということから、リゾート地として、食料庫として不動のポジションを維持してきたが、温暖化の影響もあってか、台風などの直撃を受けるようになった。加えて、地震などの災害も重なっている。

 余談だが、東日本大震災以降、日本列島は地震や火山噴火の活動期に入ったとされ、今後もどこで大きな災害を起こるかわからない状況にある。

 今回はじゃがいもがターゲットになったが、地域に集中している特産品が壊滅するようなことがいつ起こるとも限らない。特産品の分散化は今後の日本の農業のテーマとなろう。

 閑話休題。このポテチショックはメーカーの戦略に大きな影響を与えたようだ。ポテトチップス市場は7割以上占めるガリバー、「カルビー」と2割強の「湖池屋」で市場の9割以上を占める。両者もポテチショックで複数の人気ラインナップを廃止せざるを得ない状況に陥ったが、ガリバー、カルビーはこれを機にポテトチップスのカルビーからフライドポテトのカルビーへと脱皮を図ろうとしている。

 実は近年ポテトチップス市場全体の売上は頭打ち傾向にあり、王者カルビーもその市場を牽引できていない。市場占有率も7割でとどまっている。

 

 

 一方同じじゃがいもの加工品の加工品として人気をポテトチップスと二分するフライドポテトの市場はここに来て拡大基調で、フライドポテトの専門店も増えている。

 その背景には訪日外国人の増加がある。とくに東南アジアや西アジアのイスラム圏から旅行者に対してタブーを気にせず提供できるのがフライドポテトであるからだ。

 カルビーは、北海道の契約農家を中心のじゃがいもを、当面はコンビニやスーパーでカルビーの袋入りではなく、業務用フライドポテトを提供する模様だ。

 また、ポテトチップス好きの若者を中心に常識化しつつあるのが、ポテトチップスを箸でつまむという作法である。これはスマホを使う若者が、手づかみしたポテトチップスの油がスマホの操作画面に付着することを嫌い、窮余の策として生み出された新習慣である。

 巷ではすでにポテトチップス専用のトングなども販売されている。

 

  

 こうした流れのなか、ポテトチップスメーカー側では、手を汚さないポテトチップスの開発も進んでいる。ポテトチップスメーカーの雄、湖池屋は手を汚さずに食べられるポテトチップスを開発した。それが「ワンハンドポテチ」だ。ポテトチップスの形を棒状にして、片手で握られるサイズの袋に詰めたもので、袋の端を切り取ると、袋を傾けるだけでそのまま口に流し込める。もはやポテトチップスは食べ物ではなく、「飲み物」となってしまったようだ。

 

  • LINE