COLUMN ビジネスシンカー

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2019.05

現有資産を捉え直して、儲けのポイントを探る! 令和の時代に押さえておきたい儲かるビジネスモデルの研究

既存ビジネスの引き算から生まれたQBハウス

 インターネットビジネス発想は時間や中間のコストの引き算にある。この発想は実はリアルなビジネスでも応用できる。

 現有の事業要素や商品の機能を引き算することで新たなビジネスモデルが生まれることがあるのだ。

 10分1000円(税別)のクイックヘアカットを生み出した「QBハウス」は、この引き算思考で成功したビジネスモデルの代表だ。

 先のデイ・バイ・デイはサービス提供者の視点でビジネスモデルを作り替えたが、QBハウスはユーザー視点からビジネスモデルを問い直した。

 QBハウスが生まれた頃は、カリスマ美容師が話題を呼び始めた時代。東京の銀座や青山の人気ヘアサロンには高い指名料を払ってもなお、数カ月待ちというカリスマ美容師も少なくなく、庶民からするとヘアサロンは「高嶺の花」のイメージがついていた。QBハウスの創業者、小西国義さんは、そこに疑問を持ったのだ。

 「どこでも出てくるのはカット、顔剃り、洗髪がセットになった"定食メニュー"。待ち時間を含め、なぜ、長時間拘束されなければならないのか、疑問を感じた」と言う。

 同社はシャンプーや顔剃りなどこれまで「当たり前」と思われていたサービスを引き算することで、1000円(税別)でも収益が生み出せるようなビジネスモデルを作り上げた。

 単に要素を引くだけでなく、シャンプーをしなくても、切った髪の毛を取り除ける器具を開発するなど、コストカットと時短のための技術開発も進めている。

 こうした引き算のビジネスモデルとしては、航空業界のLCCなどが挙げられます。LCCは機材の種類を統一化することでメンテナンスコストを下げ、さらに機内食など従来、「出て当たり前」のものを廃止もしくは有料化し、また使用料の高い空港を避けるなど、「引けるものを引いて」生み出されたモデルである。

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