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2019.05

現有資産を捉え直して、儲けのポイントを探る! 令和の時代に押さえておきたい儲かるビジネスモデルの研究

【newcomer&考察】 
令和は赤ちゃん返りの大人続出? 粉ミルクは大人仕様へ

 令和はもしかしたらとんでもない時代になるかも...。そう思わせてしまうのが、ある大人向けの飲み物市場の拡大だ。

 その飲み物とは「粉ミルク」だ。そう多くの世代が乳幼児時代にお世話になったあの「粉ミルク」である。字面だけ見ていくと怪しい遊びのように思えてしまうが、いま50代から70代にかけての中高年の粉ミルク購入者が増えているという。

 いうまでもなく粉ミルクは乳幼児のための飲料であり、母乳をあげられないお母さんたちの味方だった。考えてみれば、乳幼児が飲む粉ミルクなら、大人にとっても安全だし、優しいと思われる。

 ただ子供向けの粉ミルクは、乳幼児の発育に不可欠の栄養素がまんべんなく入ってるため、大人にとってはカロリー高めで、脂質が多い。摂りすぎると栄養過多になり、体重や脂質が増えてしまう。そこで各飲料・乳業メーカーが工夫し中高年が手軽に飲めるようにしていったのだ。

 この先駆けとなったのは、2014年に発売された、その名も「大人の粉ミルク」。発売したのは乳業飲料メーカーではなく、動悸などの市販薬で知られる「救心製薬」である。

 きっかけは高齢化によりカルシウム不足を補うために粉ミルクを飲んでいる人がいるが、お腹がゴロゴロするという問題解決のために開発したとのこと。

 牛乳に近いバランスながら骨や筋肉に必要な栄養素をバランス良く、骨粗しょう症予防になる"プロテタイト"を配合、コラーゲンや葉酸なども含み、味もヨーグルト味などがあり、お腹が弱く牛乳が苦手な人にも安心して飲めるのが特長。とくに骨重量が気になる人に受けている。

 この大人の粉ミルクは、飲みやすさもあってたちまち人気商品となり、品切れ状態が続いたこともあるほどで、現在は発売当初の4倍の売上を誇っている。

 もともと「門外」の製薬会社がつくった粉ミルクがこれほど大ヒットを飛ばしたら、本家の乳業メーカー、飲料メーカーも手を拱いているわけにはいかない。

 16年には、「森永乳業」が「ミルク生活」を発売した。

 こちらは感染症を防ぐラクトフェリンや老化の進行を抑える中鎖脂肪酸、免疫力を高めるシールド乳酸菌などをバランス良く配合している。通販限定としてスタートしたが、18年からはドラッグストアなどでも発売し、現在では当初売上の5倍とこちらも絶好調。

 17年には雪印系の「雪印ビーンスターク」が「プラチナミルク」シリーズを発表した。11種類のビタミンと8種類のミネラルなどほかDHA、たんぱく質をバランスよく配合している。

 さらに18年には健康食品販売ユニマットリケンから「大人の賢い粉ミルク」、伊藤忠食品が「おとなのミルク習慣プレミアム」、化粧品・健康関連商品を手掛けるエルベ・プランズが「まいにち粉ミルク」が発売され、今年に入ってからはアサヒグループ食品が「カラダ届くミルク」を発売した。大人の粉ミルク市場は一気に広がりをみせている。

 実は森永乳業や雪印ビーンスタークには、粉ミルクを飲んでいいのかという中高年からの問い合わせが近年増えてきたという。とくに60代の女性が多く、そのなかには乳児用粉ミルクを健康のために飲んでいる人も一定数いたという。

 お湯で溶かして飲むだけでなく、シチューなどの料理に混ぜて摂っている人も結構いたらしい。

 それもあってか、大人の粉ミルクの活用法として、ほかの料理やコーヒーや青汁などに混ぜて飲むことを提案しているメーカーも多い。

 同じ粉ミルクとは言え、その成分もさまざま。今後は年齢や性別や体質にあわせたさまざまな「大人の粉ミルク」が市場に登場しそうで楽しみでもある。どうやら令和は健康のために「粉ミルク」一杯が、大人の嗜みとなりそうだ。

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