COLUMN ビジネスシンカー

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2019.05

現有資産を捉え直して、儲けのポイントを探る! 令和の時代に押さえておきたい儲かるビジネスモデルの研究

プリンタも携帯電話も浄水器もみんなジレットに学んだ

 こうした本体に付属した製品やサービスで売り上げるビジネスモデルは、プリンタなどでも適用されている。

 とくにPCの普及に伴い市場を広げている家庭や個人向けのインクジェットプリンタでは、この付帯ビジネスモデルが中心だ。

 インクジェットプリンタが市場に出回り始めた頃は非常に高価で、5万円以上するモデルがザラだった。それがいまでは3000円程度のプリンタで商業印刷並みの美しいカラー印刷ができるまでになった。

 それにしてもこれだけの低価格でプリンタが買える時代が来るとは、10年前では想像もつかなかったろう。しかしプリンタメーカーは想像していたのだった。

 本体価格を可能な限り下げることで、プリンタ購入のハードルが下がる。そしてその代わりにインク代を使わせることが、その収益源となることを。もはやプリンタメーカーのインクは本体価格を超えていることも珍しくない。プリンタメーカーはよりインクを使ってもらうために、4色のインクを5色も6色にも増やしている。

 最近はさすがに消費者の反応が悪くなり、インキがなくなると激安店でプリンタをまるごと買い換えるユーザーが増えて問題化、プリンタメーカーもインキ容量を大型化したプリンタを出すようになってきた。

 実はこのプリンタのビジネスモデルは、プリンタメーカーが生み出したものではない。前例がある。それが髭剃りで知られる「ジレット」だ。

 ひげそり用カミソリはもともと柄付で売るものが一般的だったが、これをジレットは柄と刃を分離させ、刃を「替え刃」とすることで、柄さえ買ってもらえれば、継続して自社製品を購入してもらえるビジネスモデルを構築したのだ。

 ジレットモデルは、「コダック」というカメラ・フィルムメーカーでも採用され、デジタルカメラが普及する前の、現像サービスモデルをつくり上げた。コダックは当時高額だったカメラを大きく値下げして普及させた代わりに、そこで使う専用フィルムを使ってもらうことで、フィルム代と現像代を収益とするモデルを打ち立てたのだ。

 ジレットモデルは、現代においてはさまざまな事業のモデルとして採用されている。

 代表的なものが携帯電話のキャリア(電話会社)だ。周知の通り、携帯電話の本体はかなりの高額だが、それを低額に設定し、まず客に電話機を持ってもらうことでユーザー数を広げ、その代わり月々の通話料や通信料で稼ぐ、ジレット型のビジネスモデルとなっている。ジレットでいう柄の部分が電話機で、替え刃が通話やパケット通信となる。

 ほかにも、家庭用の浄水器メーカーもこのモデルを採用している。浄水器が柄、カートリッジが替え刃というわけだ。

 また「ネスレ」も自宅で手軽でエスプレッソが楽しめるネスプレッソモデルで、新しい市場を広げた。独自技術を備えたエスプレッソマシンを家庭に低価格で提供し、収益源をエスプレッソの豆が入ったカプセルの提供としたのだ。エスプレッソマシンが柄で、カプセルが替え刃というわけである。

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