COLUMN ビジネスシンカー

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2019.11

目から鱗ー知らないと損する イマドキのマーケティングの基本

人間の欲望を知る

消費者のニーズやウォンツはどのように引き出されるのだろうか。マーケティングではその前提となっている人間の欲求についていくつかの分析がなされている。

代表的なのは心理学者マズローが唱えた「欲求5段階論」だ。マズローは、人間は経済的に余裕が出てくるとより高次の欲求に移っていくとしている。

5段階のうち最も基本的な欲求が、「生存の欲求」である。生きていくための必要不可欠な「衣」「食」「住」への欲求だ。その次が病気や事故から守ろうとする「安全への欲求」。その次が会社や地域、家族などの組織やコミュニティでの人間関係に愛情や友情を求める「帰属と愛情の欲求」。その次が社会から認められたい、尊敬されたいという「尊厳の欲求」。そして最も高い次元の欲求が、仕事や生き方において自分の求める姿になりたい、理想とする自分になりたいとする「自己実現の欲求」である。


このほかこのマズローの5段階説を下敷きにした「アルダファのEGR理論」というものもある。

この理論ではマズローの理論を「生存欲求」「関係欲求」「成長欲求」の3つに統合している。生存欲求は生存と安全への欲求、関係欲求は、安全と社会的欲求、尊厳への欲求、成長欲求は、尊厳と自己実現の欲求に相当する。

マーケティングにおいては、これらの欲求に応じたそれぞれの市場が存在すると考えられ、たとえばミネラルウォーターや食品などは生存への欲求、安全への欲求を意識したマーケットだし、保険や金融商品は安全への欲求、高級車や高級マンションは尊厳の欲求、難関大学への合格をサポートする予備校や、資格取得のための講座は自己実現の欲求の市場であるとも言える。

先進国においては、ほとんどがこれらの理論の最後の段階にいる人だ。だが昨今の大雨や大地震、噴火などの天変地異を引き合いに出すまでもなく、状況によって生存への欲求、安全への欲求は常に人間のなかに内包されている。

誤解を承知で言えば、マーケティングは欲望心理学の実践でもある。つまり人間社会が複雑化すれば、それに応じた複雑な心理が発生し、かつその心理に呼応する市場は生まれてくるのだ。

たとえば、アメリカの心理学者H.A.マレーは、「恥辱の回避」「防御」「保身」「解明」「優越」「自己卑下」など28の欲求があると分析している。つまりこれだけの欲求のニーズがあり、それぞれに市場があり、そこに対するマーケティングも必要となるのである。

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