COLUMN ビジネスシンカー

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2019.12

ビジネスの原点は優れたコンセプトづくりにあり! コンセプトづくりのツボを知る

現状を鳥の目と虫の目で分析、具体化して言葉化する

コンセプトは結果を生み出すため(HOW)の仕組みなので、そこには一連のプロセスがある。コンセプト化のプロセスはその対象や実践者のスタンスによって分かれている。

たとえば前出の平林さんは、コンセプトをつくり上げるプロセスを2つのフェーズに分けている。フェーズ1は「意味を探るフェーズ」、フェーズ2が「デザイン化(仕組化)のフェーズ」だ。

フェーズ1では、まず発想者(アイデアを持っている人)の意図をくみ上げ、意味化(具体化)する。具体化には言葉や記号、図など、あるいはそれらを組み合わせた表現方法が使われる。そしてフェーアに対して検討と検証を加えて、コンセプトをつくり上げ、次のデザインのプロセスに渡していく。

ここでいうデザインとは意匠の意味にとどまらず、計画やスキームという意味も含める。コンセプトは結果に導くための仕組みだから、逆に言えば、与件として課題やテーマが設定される場合が多い。発想者はこうした課題やテーマに対しての現状認識、分析を行いながらそこから「4つの驚き」の問いで驚き・気付きを探していく。その意味では、フェーズ1の前にフェーズ0、すなわち現状認識のための情報収集と整理・分析が前提となって来る。

一方大手広告代理店博報堂出身のフリープランナー高橋宣行さんは、コンセプト化のプロセスを次の4つのステップで示している。

高橋さんの示す現状認識と時代洞察は、まさにコンセプト化の与件となる現状の分析を行うステップだ。いずれも情報収集が基本になってくる。

現状認識は起っていることをまず拾い上げ、収集する。一方、時代洞察は同じ情報でもより感性的、感覚的な捉え方となる。起っている事実を細分化しながら市場の動向や生活者の心理を想像していく。当たり前だが、新しい発想にせよアイデアにせよ、気付きにせよ、まず情報を集めてそれに触れないことには生まれてこない。「無」から「有」を生み出すことはないのだ。さらに高橋さんはこの2つのステップについて、現状認識のステップは"鳥の目"で広く俯瞰し、時代洞察は"虫の目"で微に入り細に入り見ることが重要だと言っている。

加えて大事なことは、仮説を立てて動くということだ。新商品がヒットしないのはなぜか。市場が飽和しているのは本当なのか。人口が減っているのは、女性が子育てできる環境が整ってないからなのか。いま出しているサービスの魅力は伝わっていないのではないかなど......

日本にコンビニエンスストアを根付かせた、セブン&アイホールディングスの元会長の鈴木敏文さんは、それまでの小売りの常識を変えてきた人だが、とくに圧巻は夏におでんを売ったことだ。季節は夏でも気温が低い時期や地域があれば、温かいおでんは売れると判断し、ヒットさせた。鈴木さんが著書で何度も言っていることは、商売では「分母」 に着目するということだ。つまり夏という分母で商売を考えている限りは到底おでんを売るという発想は生まれない。でも分母を気温とすることで、それまでの常識を変える新しい市場が開けることがあるのだと。

ステップ3は、先に述べた驚きや気付きの発見のことだ。高橋さんは気付きや驚きの発見の切り口として次のようなヒントを出している。
① 視点を変える
男性視点から女性視点。子供視点を大人視点に。日本人視点を外国人視点に。顧客視点に。
② 切り口を変える
食品から医薬品。レストランから遊技場。資産から消耗品に。中間品を完成品に。現在から10年後に。現在から100年前に。
③ 意識を変える
売り場から買い場。顧客からファン。顧客から参加者。
④ 発想を変える
仕事から遊び。製造からサービスに。営業から解決に。
⑤ 概念を変える
固有名詞から一般名詞に。

この気付きや驚きの発見がステップ4の段階で言葉化され、収斂されてコンセプトが生まれていく。高橋さんのいう言葉化は、平林さんのいう具体化ととっていいと思う。言葉だけでなく、記号や図、映像であったり、音や匂いも入ってくるかもしれない。大事なことは言葉化(具体化)することで、協力者や顧客、消費者の共感を得ることだ。

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