COLUMN ビジネスシンカー

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2020.02

いま世界が注目! SDGs時代に考えたい 日本人の知恵「三方よし」

他国(よそ)では余計にその地域、その場所の気持ちを汲み取って商売する

しかし、その遥か前から社会の重要性を認識し、その地域地域でさまざまな形で地域貢献を続けてきた企業人がいる。その代表が近江商人である。

近江商人は、現在の滋賀県一帯に済んでいた商人たちのうち、中世から江戸時代にかけて、北は北海道から南は九州まで天秤棒を担ぎながらめぐり、それぞれの地場商品を売買する「諸国産物回し」を展開した人たちを指す。現在の商社の先駆けとも言われる。出身別に高島、八幡、日野、湖東の商人に分かれ、得意とした商品や活躍した時期なども微妙に違うが、その多くが行き先で信用を得ながら、事業を脈々とつないできた。時代が下るにつれてその地で店を構えて商いをする者も出てきた。

その商売人としての姿勢を表した言葉が「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の「三方よし」という考え方である。

商いは基本的に売り手と買い手の合意で成立するが、そこに「世間」という概念を加えていることに近江商人の特徴があり、先見性があったと言われている。

滋賀県にあるNPO法人「三方よし研究所」の専務理事、岩根順子さんによれば、「当時は生産から流通、消費はその藩で帰結させるのが経済の基本。そこによそ(他国/他藩)から来た商人が、稼いだお金を自分の国(藩)に持って帰ることは、その藩として面白くない。当然よそから来た人を排斥しようという圧力があります。

ですから、その地域の方に受け入れてもらえる商いの方に受け入れてもらえる商いの方法をとりました。自分のことだけを考えるんじゃなく、他国(他藩)に行ったら余計にその場所のことを、気持ちを汲み取って商売をしなさい。それだけでなく、粗悪なものを売ってはだめですよ、高く売ってはだめですよ、というような商いをした」という。まさにグーバル時代の現在に通じる商売姿勢である。

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