COLUMN ビジネスシンカー

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2020.03

ビズシンカーインタビュー 人工衛星は都道府県で持つ時代に!
2020年 福井県民衛星「すいせん」 宇宙を駆ける!!

県内には宇宙産業に関わる企業はほとんどない。
ゼロからのスタート

BIZ ● 改めて、どういうきっかけでこの福井県民衛星プロジェクトは始まったのですか?

牧野一郎さん(以下牧野)● 福井県が平成22 年に策定した経済新戦略という政策の指針を改訂する際(平成27年)に、「人口減少が進む中、繊維メガネに次ぐ新産業を目指すべきだ」という話となり、そのなかで「宇宙分野がいいんじゃないか」という意見が出てきました。検討の結果、やろうとなりました。

BIZ ● 繊維・メガネから宇宙衛星とはかなり思い切ったジャンプですね。それは福井県職員の中から出てきた話なんですか?

牧野● 現在、福井県民衛星技術研究組合の理事長をしている株式会社ネスティの進藤哲次社長が、衛星データをビジネスに使えないかということを検討していました。ただ衛星のデータを利用しようとすると10km 四方の衛星写真1枚が当時30 万円くらいする。とてもこれではビジネスにならない。そんな時に小さな人工衛星を開発製造できるという東京の宇宙ベンチャーである株式会社アクセルスペースの話を知って、これなら行けそうだねとなった。

従来人工衛星を1基製造すると大型のもので何百億円もしていましたが、アクセルスペースの超小型衛星は数億円で製造できるというのです。そこで進藤さんが県内外の企業や県に働きかけをして、福井県民衛星技術研究組合をつくり、プロジェクトの実施体制を築きました。自前で衛星を持てば、データ自体も安くなっていろいろな活用ができるのではないかという話になりました。

それと衛星データを農業に活用しようという取組みもあり、いろいろな動きがある中で、人工衛星を自前でつくって打ち上げようというこのプロジェクトになったのです。

BIZ ● いろいろな思いやタイミングが重なって生まれたプロジェクトだということですね。県内に宇宙産業の下地はあったということですか?

牧野● 県内に宇宙向けの部品とか部材を提供している企業は数社ありましたが、宇宙産業はほとんどゼロからのスタートです。

BIZ ● かなり野心的な話ですね。撮った映像などのデータは県で利活用するわけですか?

山下裕章さん(以下山下)● 県民衛星ですから、県民のために使うということが第一になってきます。まずは行政利用として、県庁の土木や森林保全などの業務で活用できないか、検討してるところです。

衛星データを活用したシステムでは、約2週間毎に更新される画像による、河川や森林など、登録したエリアの継続監視による変化の自動検出や、過去の任意の衛星画像とハザードマップなどの情報を地図データ上への表示、衛星画像の3D 表示による立体的な把握などが可能となります。その上で専用の機能を付加し、行政や民間で使えるソフトにしていきます。

BIZ ● ほかにもいろいろデータの利活用の可能性はありそうですね。

山下● 例えば湖の水質管理。水草がどれだけ生えていたりなどが分かると思いますし、土木工事の進捗管理などもデータが定期的に取れるので、いちいち現地まで行かなくても分かるようになると思います。森林など、なかなか人が入りにくいところの監視に向いてると思います。定期的にデータが取れるので、 行政パトロールの効率化なども図れそうです。また農業関係では一帯の稲のタンパク質含有量が見えたりするので、稲刈りのベストタイミングなども判断できると思います。

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