COLUMN ビジネスシンカー

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2020.03

ビズシンカーインタビュー 人工衛星は都道府県で持つ時代に!
2020年 福井県民衛星「すいせん」 宇宙を駆ける!!

福井の高度なモノづくり技術を
人工衛星製造に活かす

BIZ ● 福井の技術の素晴らしさはわかりますが、実際どのような形で生かされるのですか。

牧野● 人工衛星は宇宙空間まで行ってしまえば無重力で真空状態なので重さは関係ありません。ただ宇宙に持って行くまでは軽い方がいい。なので、メガネの軽量化技術などが活かされるのではないでしょうか。

一概には言えませんが、衛星が1 kg 軽くなると打上げ経費がだいたい数百万円安くなるとも言われています。メガネの加工技術はものすごく微細で難しいですが、いまはチタンなど難加工材の加工技術があります。最近では炭素繊維も使われていたりしますが、こういった技術が軽量化に活かされてきます。製造に関わっている鯖江精機はメガネの加工技術から金属加工技術に入っているのですが、ものすごく高い技術を持っています。福井の中にはそういったすごい技術があって人工衛星に活かされると思っています。

BIZ ● 県民衛星の製造については、いまはどういう状況ですか。

牧野● 県民衛星は今年、打ち上げる予定で、それに向けて試験を進めています。県民衛星は100kgぐらいありますが、これの組み立てや試験を経験することで、県民衛星と同サイズの人工衛星の製造技術やノウハウの蓄積を進めています。

あわせて、一昨年打ち上がったアクセルスペースの人工衛星「GRUS(グルース)」が撮った衛星データを、開発中のシステムに取り込みシステムの実証を進めています。

緑として写っているところは、本当に緑なのかとか、河川の中洲の堆積データが業務に使えるのかなど、我々がその場所に出向いて写真に撮ったりしながら検証しています。

BIZ ● そうですか。でも人工衛星をつくるとなるといろいろハードルがありそうですね。

牧野● 衛星の製造技術については、人工衛星の第一人者である東京大学の中須賀真一教授のもとで勉強させていただきました。いまは実力がついてきて県民衛星よりさらに小型の3U衛星では、東京大学と共同開発するというところまでいっています。3U 衛星はアメリカの大学が開発した小型人工衛星Cube Satの国際規格となっているもので、10cm ×10cm × 30cm の小さい衛星です。これに対して県民衛星は60cm × 60cm × 80cmなのでちょっと大きいものです。3U衛星は福井県でつくれるところまで来ています。

BIZ ● ビジネス展開としては、パソコンにおけるインテルさんみたいに1つのユニットみたいなものを作って、それをカスタマイズして提供するようなビジネスモデルなんでしょうか。

牧野● 衛星には、バスという基本的なユニットがあるのですが、それだけで衛星として機能するものです。福井で開発した3 U 衛星では30cm のうち20cm がバス部分(15cm まで圧縮可能)で、残りの10cm 部分をミッション部分として使えます。そこに例えば地上カメラで撮影したりなどやりたいことがあれば、そこにカメラをプラスしますし、地上と通信したいということであればそこに通信機器を積み込んで通信します。いろいろな目的の衛星に対応できるようにユニット化した設計としているので、今後量産の広がりがあると思ってます。

BIZ ● いま何社くらい関わっているのですか?

牧野● 県民衛星プロジェクトの実働部隊として、衛星を製造するものづくり系企業7社と、データの利活用を担当するシステム系企業4社と県で福井県民衛星技術研究組合を構成しています。

このほか顧問として東京大学、福井大学、福井県立大学、福井工業大学、福井高専(福井工業高等専門学校)、JAXA に入ってもらって、さまざまな助言をいただいています。

ほかに技術支援として県工業技術センターには、衛星製造に必要な設備や環境を整備しています。こうした布陣でプロジェクトを進めています。

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