COLUMN ビジネスシンカー

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2020.05

新型コロナのいまと
コロナ後を考える

サプライチェーンの寸断、
食料不足で物価が高騰か
ハイパーインフレの懸念も

これまでのパンデミックに対する各国の対応を見るまでもなく、アフターコロナでは過度な他国への依存は抑えられるだろう。かと言ってどの国も国内だけでサプライチェーンを完結させることは難しい。ただ企業の内製化率もある程度高めておく必要がある。物流の寸断、材料供給地の出荷停止などに備えた複数のシナリオやルートは用意しておくようになる。となれば、最終的にある程度の物価上昇は避けられなくなる。

不気味なのは、UN(国連)とWHO(世界保健機関)、WTO(世界貿易機関)が食糧危機の懸念を発表していることだ。農産物のサプライチェーンが寸断される可能性や社員の感染による食品向上の封鎖なども然ることながら、最大の懸念は生産地で農業労働者の確保が難しくなりつつあるのだ。米国では農産物の収穫をメキシコからの季節労働者に頼っている。また西欧の収穫には、東欧や北アフリカからの労働者が欠かせない。国境遮断が長引けば、どこも自国の食料を優先するため、自給率の低い国は大きな打撃を受ける。

マスク不足でこれだけピリピリしている世の中で、食料不足となれば新たな紛争の火種となりかねない。

この新型コロナで影響を真っ先に受けているのは、パートやアルバイト、契約社員など非正規雇用者である。社会に必要な仕事を担う人々をエッセンシャルワーカーと呼ぶが、エッセンシャルワーカーは実はこうした立場の弱い人たちが多い。政府は与党などからの突
き上げもあり、給付や助成金の増額を始めとする新型コロナ対策を打ち出したが、自粛が長引けば財政的に持たないことになる。

立教大学特任教授の金子勝氏は、デフレが反転してハイパーインフレが起こることを危惧する。すでに日本は未曾有の金融緩和をしているため、市中にカネが余っており、物不足・食糧不足となれば、そこにカネが一気に集まり、戦後の物不足のように物価が急騰するというのだ。となればすでに開きはじめたコロナ格差がさらに拡大し、エッセンシャルワーカーの生活がいよいよ立ち行かなくなり、インフラが機能しなくなる。結果「持てる者」にも物資が届かないという事態も起こりうる。

エリアを限定して徐々に緊急事態を解除し、6割、7割程度の「運転」で経済を回すか、緊急事態をさらに延長し国債の増発で支えるか...。国債増発は消費税アップといわばトレードオフなので、これを財務省が許すかだが......。もっとも財務省は国債を積み上げてもほとんどが自国通貨で買われているのでデフォルトにはならないという立場だ。追加措置が出される可能性は高い。

またすぐではないものの、消費税の撤廃の可能性もある。京都大学の藤井聡教授は、消費税導入以後、消費が落ち込み続け、本来広
がっていた市場が縮小し、入ってくる税収が失われたと主張している。

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