COLUMN ビジネスシンカー

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2020.05

新型コロナのいまと
コロナ後を考える

都会から地方への動き
「開疎化」が起こる

アフターコロナのニュー・ノーマルは、仕事がリモートワーク中心になることだけではない。地方と中央との関係も大きく変わっていく。三重県知事が高らかに謳っているように都会からの地方への移住が進むことは、容易に想像できる。

仕事の場所を問わず、成果を上げることができれば、東京や大阪などの大都市部のラッシュアワーに通勤電車に乗ることもないし、地方都市でもクルマやバスでオフィスに通勤する必要はなくなる。

慶応義塾大学環境情報学部教授でヤフーのCSOである安宅和人氏は、こうした流れを「開疎化」と呼び、「都市化」と対置している。近代社会は洋の東西を問わず、都市化によって近代化が進められてきた。大都市には常に人が流入し、そこには新しいコミュニティーや構造物、事業、システム、文化が生まれてきたが、アフターコロナの世界は、流れが大都市から外に向かう。

とくにいままでは大都市部の中心部の再開発が目覚ましく、高層ビルや高層マンションが立ち並んでいたが、人が流れ込んで来ない限り、こうしたハコは必要なくなるだろう。

安宅氏は、「この新しい我々の世界ではハコというものの役割も再定義されないといけない」とし、「通気の良い形に設計思想も変え、今までのビルは大幅なリノベーションが必要になるだろう。オフィスにつきものの"島"もおそらく消える。日本の職場は官庁も含めて、補正せざるを得なくなるだろう。温暖化に伴い風速70 〜90m/secに対応する街やビルにする必要があるが、その対応も一緒に行うべきだ」と主張する。

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