COLUMN ビジネスシンカー

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2020.05

新型コロナのいまと
コロナ後を考える

離れていても
あたかも一緒にいるような
空間をいかにつくるか

また安宅氏は「離れて作業や議論している中、あたかも一緒にいるかのように感じ、共同作業して価値を生み出すための技術も必要になる」という。

現在、百花繚乱とも言えるWEB会議やチャットツールのなかでどれが残るのかは判断が難しいが、画像がきれいで音声がクリアであること大前提であり、また一緒にいるような感覚を作り上げるなら、映し出す画面もPC画面から壁一面がモニターになるようなバーチャル空間をつくる設備も必要だろう。しかもいちいち接続するのではなく、常時接続にして、数百キロ、数千キロ離れたオフィスがあたかも画面の向こう側に常に存在しているような感覚に仕上げる。

こうしたニーズに応えるツールとしてはバーチャルオフィスという方法がある。たとえば、東京・渋谷に本社を置いているシステム開発の「ソニックガーデン」では、朝9時になるとPCやモニター画面上のバーチャルオフィスに社員が「おはようございます」と出社してくる。同社の画像は2分に一度更新され、リアルタイムで各社員が取り込み中か離席中かがわかる。在宅だと相手の様子がわからず声をかけにくいが、バーチャルオフィスだとその心配もない。

こうしたバーチャルオフィスツールを提供しているのは、スタートアップに多い。ソニックガーデンの「Remotty(リモティ)」やイグアスの「Sococo(ソココ)などが知られている。とくにSococoのは実際のオフィスレイアウトを俯瞰した画像をネットに上げ、そこに人が着席(在籍)するようなインターフェイスとなっているのが特長でオフィス感がある。在席の様子は各席のアバターでわかり、呼びかけて相手が応答するとモニターが作動し、顔を見ながら対話ができる。またバーチャルオフィスのレイアウトでは遠隔地の事務所も1つのフロアに配置することができるため、たとえば、東京本社の島の隣に大阪支社の島を置くこともできる。バーチャルオフィスのなかに全国のオフィスを配置し、活動を見ることができるのである。バーチャルオフィスはとかく孤独になりがちなテレワークにとってはありがたいツールと言えそうだ。

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