COLUMN ビジネスシンカー

  • SHARE
  • LINE
2020.06

ポストコロナ時代の羅針盤
知って目からウロコ!
開疎化の時代の産業集積入門

産業集積地の
分業システムと
問屋が集積地成長力の鍵

先の岡本教授によれば、産地の形成時期は約37%が江戸時代とそれ以前に誕生しているという。次いで多いのが明治時代および第二次世界大戦後で、約4分の1が形成されている。業種ではとくに窯業や土石業の3分の2が、江戸時代およびそれ以前に誕生している。

日本は世界一の長寿企業大国として知られているが、全国の産地にはその産地を代表する老舗企業が営々と事業を続けていることが多く、産地形成に影響を与えるケースが多い。またその産地内での事業者の役割や関わり方も業種によって違いがみられる。

産地が生き残ってきたのはどんな理由があるのだろう。

岡本教授はその産地内の分業構造にあるとみている。分業が細かく複雑であればあるほど、1社の倒産や廃業の影響を受けやすく、好調期には生産高を上げやすいものの、逆に不調期、不況期となると一気に廃業転業が起こってくるという。

たとえば、窯業や土石業の産地の場合、ほとんど分業せず、1社で最終製品を内製する。いわば「作家」タイプが産地の競争力を引き上げる。実際窯業や土石業の場合は約85%が独立企業だ。

一方、繊維は複雑な工程間の分業を要するものが多く、景気後退などの要因で工程途中の企業が廃業したりすると分業全体に影響が出てしまう。また繊維産地の6割が下請け企業であり、元請け企業、最終製品メーカーの業績に左右されやすいのも特徴だ。

単に制作工程の分業化だけでなく、産地では問屋の存在がその発展、競争力強化に大きな影響力を与えてきた。販売ルートの開拓や新製品の提案、あるいはメーカーを育成する際のファイナンスなど、業種や産地のしきたり、文化によって多様な対応をしているのだ。

もちろん産業集積地の形成は一様ではない。歴史の長い集積地では、明治維新や二度の世界大戦、大震災など数々の変革を乗り越えてきた。二度のオイルショックや関税の引き上げ、為替レートの激変、貿易摩擦など世界経済の荒波も受けている。

衰退や停滞してる地域もあるが、その起こりや発展の歴史、今後の展望などをみていくことで、今後の商品開発や事業提携のヒントが見いだせるはずだ。

具体的に産業集積地をいくつか見て行こう。

  • LINE