COLUMN ビジネスシンカー

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2020.07

人間は実はいつだって不合理に行動する!?
知ってると知らないでは大違い。
行動経済学のキホン

テレビショッピングでは、
商品のカラーを
5色にすると売れる

行動経済学は、現場の実践などを分析し、理論化し、体系化しているが、ビジネスが進化したり、消費者の性向が変われば、その理論も変わっていく。

先述の「端数価格」もそうだ。商売をやっている人であれば、常識だが、高級店でこうした端数価格をあまり取り入れるとその店の「格」が落ちかねない。贔屓にしている富裕層の顧客が離れる可能性もある。どのように値付けをして消費者にアピールするかは、どの客層をターゲットにするかで変わってくる。

ジャムの法則もそうだ。1つのカテゴリーに適したサンプル数は、一般的に3〜4つくらいの選択肢が良いと言われている。それ以上増やしても売上が上がるとは限らないということだった。

しかし、テレビショッピングなどでは、「5色セオリー」が支持されている。バッグや携帯家電など同じ形でも色合いを5種類つくるとよく売れるのだ。

メーカー側からすると、あまり色数を増やすと売れなかった色の在庫が気になるので、積極的になれない戦略だが、このセオリーのポイントはすべての色がまんべんなく売れなくてもいい、ということ。5色の選択肢を用意することが大事で、消費者が2、3色だと少なく感じ、7、8色だと迷ってしまうのだ。これはテレビショッピングならでは特性だ。というのも、テレビショッピングは、放送時間が限られているため、消費者が瞬時で判断しやすい色数が5ということなのだ。これがネットショッピングとなれば、消費者の都合で閲覧時間をコントロールできるので、もう少し種類を増やしても売り上げに貢献できる。

もともと少ない選択肢を増やすことで客の満足度を高めるということは、行動経済学の論理に適っている。というのも、人間は「自分の行動には影響力があり、自分は決定権を握っている」と思いがちだからだ。とくに会社などで権限の強い人ほどその傾向にある。ただ問題は"商品の豊富な店は客を幸せな気分にしてくれるものの、店にとってはそれが必ずしも売上げアップに結びつかない"ということだ。だから「相手によって適正な選択肢を用意する」ことが重要になってくるのである。

人間の経済行動は、社会の情勢や環境、その人の置かれた状況によってどんどん変化している。人間は決して合理的な存在ではない。合理的な時もあるがそれは一時にすぎない。その前提を踏まえながら、行動経済学のセオリーを上手にビジネスに活用していきたいものだ。

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